二重人格の「副人格」を語り手にした、切ない恋愛短編小説。主人格に対する副人格――主人格を救うという目的のために創られた「わたし」は、幸せになることは絶対にできない。つらい体験を引き受けるのが「わたし」であって、その存在理由から当然、幸せになることはできない。その「わたし」が、恋をする相手があらわれる。これほど未来のない存在があるでしょうか。悲しいく、心しめつけられる物語です。