義平と父としての義朝
1159年 12月 9日 京 義朝屋敷
「それと、此処から先は、御人払いをおねがいいたしまする」
「ほう、構わぬが、みな調度良い折じゃ、下がってくれぬか、それに本日は皆の衆、誠にご苦労、大儀であった」
今回の事変に参画した、
義平は、いちいち振り返って、全員が出たことを確かめない。
「もういい良いぞ、申せ」と
「
「
「いえ、このままで結構。、先ほどのこの義平が大刀を握りしめたる一件ですが」
「構わぬ、武家の習いじゃ、このわしが、保元の折、
義平は答えない。
「合図は、坂東衆が出すつもりだったのであろう」
「どうか、
「わかっておる、しかし、いまここで斬りかかったら、知らんぞ」といいにやりとする義朝。
「政清の叔父上が飛んで参るのでしょう。この義平それほど阿呆ではございませぬ」」
「そなたの言うお武家の国じゃがな、わしの代では無理じゃ、そなたらが頼朝などともに創り侍れ、それに武家の習いというたように、その方も十二分に気をつけよ、
「はっ心得ておりまする」
「まだあるのか」
「はっ、
「おおっ」義朝の眼が光った。
「為朝の叔父上が、保元のおり、父上を見逃してやったと仰せでしたが、誠でございましょうや」
途端義朝の表情が曇る。
「こらーっ、誰が言うとったんじゃ?そんなこと」
「為朝の叔父上、その人です。まだありまする。為朝の叔父上が保元のおり、父上の兜の
義平にとって、為朝はまさに英雄である。
「こらーっ。その方、直接、逢うたのか、為朝と」
「はっ、伊豆大島に流さるるまえに、伊豆にて、お逢いいたしましてございまする」
「なんと」
「しかし、右腕の
「言うな、存じておる、、あやつものう、もうちーと
「為朝の叔父上は船で、琉球へ渡りそこを
「リュウキュウ!?」
「はっ、九州のまた西の果てにある島々だとか、九州は保元の前に平定したのでつまらぬと仰せでした」
「なんと、、さもありなんじゃなあいつなら、我が弟にして誠の天下無双ぞ、人じゃないくらいに思うておいたほうが良いぞ」
「西の果てより大船団とともに攻め上って参りまするぞ、為朝の叔父上が」
「少し、怖いな」
「まさしく、
「だれだそれ?」
「
「ちなみに、右衛門督様は、
「誰だそれ?」
「唐の国のさらに西の方の砂が海のようにある土地の人にて」
「どんな
「知らぬほうが
「もう、その方も休め、わしも昨夜よりいろいろあり疲れた故、下がる、それより、そのほうが、意外に礼儀をわきまえ、
そう言うと、義朝は義平の肩をしっかり掴んだ。
「はっ」
義平は怖い思いはたくさんしたが、最後は少し、家族のぬくもりを感じられて嬉しかった。
義平が、大広間をふらっと出ると、となりの控えの間では
「おい、大丈夫か?えらい怒鳴り合っていたが」
「全然、大丈夫じゃない。二回ぐらい死ぬかと思い、四回ぐらい気負されて倒れそうだった」
「やっぱ都はすげーな」
「ああ、バケモノの住む街だ」
二人は割り当てられている自室へ下がっていった。
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