第41話 俺と「あの方」1

異世界ファンタジー作品ではあるが、俺と「あの方」の名前が決まっていない。マイケルでも、ジャクソンでもいいのだが・・・、作者が名前を決めるのが苦手なので、人気作品になったら、ファンに決めてもらおう。


メインストーリーの俺は、記憶喪失だが、アナザーストーリーでは、記憶を失う前の俺と「あの方」を中心に書いてみよう。そうすると、作者の都合よく書けるね。



「でや!」


俺は、勇者だ。世界を暗闇で覆う魔王を倒す旅に出ている。とある王国の王様に集められた冒険者たち。しかし、物語も半分を過ぎる頃には、冒険者たちは、極僅かしか残っていなかった。俺は、自分で回復魔法を使えるということも含めて、ソロプレイヤーとして、冒険を続けていた。決して、他のキャラクターを考えるのが面倒臭いからではない。


「ふう、スライム10万匹達成。」


俺は、まだ最初のお城周辺でレベル上げをしていた。特に意味はない。ただ、不用意に先に進んで死にたくないだけだった。この頃には、そこら辺に落ちている木の棒でも、スライムにダメージ100オーバーを与える。レベルは、30前後か?


「パンパカパーン! スライム10万匹討伐達成の1人目の方に、レアアイテム、スライムのフル装備をプレゼントいたします。」

「ラッキー!」


どこからか自動音声の声が聞こえてくる。俺は、貯金が趣味だった。スライム1匹で10ゴールドを手に入れるとして、スライム10万匹で、100万ゴールドを貯金していることになる。貧乏は、嫌だからだ。装備を買ってこなかったのも、俺がケチだからだ。


「勇者さま!」


俺は、城周辺の警備冒険者として、有名になっていた。何か事件が起こると、待ちの人は俺に呼びに来る。


「どうしました?」

「はじまりの洞窟で、コウモリが大量に発生しました。退治してください!」

「いいですよ。レア装備も手に入れたので試すには、ちょうどいいでしょう。」

「ありがとうございます。」


こうして俺は、スライムの剣、スライムの鎧、スライムの盾、スライムの兜で全身をスライムのフル装備で身を固め、コウモリがいるという、はじまりの洞窟に向かった。


「でい!」


道中、ゴブリンやスライム改などに遭遇するが、木の棒(攻撃力5)から、レアアイテム、スライムの剣(攻撃力50)に装備を変えた俺の敵ではなかった。会心の一撃は、1000を超えた。


「キャア!?」


ゴブリンやスライム改は、恐れをなして、逃げ出した。


「なんだかな?」


俺は、拍子抜けする。モンスターに遭遇しなくなった俺は、すんなりとコウモリが占拠した、はじまりの洞窟に到着した。


「よし、いくぞ!」


俺は、洞窟に入って行った。洞窟の中は暗かった。


「火の玉提灯。」


これは夜道やダンジョンで、暗いときに道を照らす物である。普通に道具屋で売っている。


「キイイ!」


コウモリたちが現れて、俺に襲いかかってきた。


「でい!」


俺は、落ちている石を拾い、コウモリに命中させる。それでもダメージは100を超える。次々とコウモリを倒していく。意外に、コウモリは弱かった。それとも、俺が強すぎるのか?


「こんな初期の洞窟に、強いヤツが来るわけないよ。」

「そうそう、勇者候補者は、もう今頃、半分ぐらいは進んでるからな。」

「コウモリは、平和に暮らすのだ。」

「ハハハハハ!」


コウモリたちも、余裕をこいていた。そう、こんな初期の洞窟に、強い勇者はやってこないと。


「こんにちは。」

「ギャア!? 人間!?」


そこに、冒険をサボっている俺が現れた。


「コウモリさん、人間が怖がってるから、平和に暮らしてもらえませんか?」

「なんだ!? こいつは!?」

「血を吸って殺しちまおうぜ!」

「キイイ!」


コウモリたちは、襲い掛かってきた。


「スライム対空ミサイル。連続発射!」


空を飛ぶコウモリ用の攻撃アイテムである。俺は、スライムのフル装備を持っている。なんでも頭にスライムと付ければ、なんでも使えるのだ。スライムマークの入ったミサイルを100発ほど、連発した。


「ギャア!?」


ドカーン! っと、コウモリたちに命中した。真っ黒になって地上に降りてくる。洞窟は、ミサイルで破壊されまくった。俺は、スライムの剣を、コウモリたちに向けて言う。


「平和に暮らしてくれますか?」

「はい、人間には危害を加えません。これからは、パレードをして、おもてなしをします!」

「よろしい。」


記憶を失う前の俺は、こんな感じで緩く勇者をやっていた。「あの方」に出会うまでは・・・。


つづく。

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