第29話 堕天使4

俺たちは、悪魔サタ子と対決した。天使たちでは、ダメージすら与えられない。ついに忘れ去られていた俺の出番がやってきた。


「人間? 人間が私と戦うというのか?」

「そうだ!」

「フっ。」

「何がおかしい!?」

「やめておけ、天使でも敵わないのに、たかが人間ごときが、私に敵う訳がない! ハハハハハ!」


悪魔サタ子は、堕天使の時よりも、数段パワーアップしていた。それもそのはず、悪魔サタンは、別名、魔王サタンとも言われているのだ。魔王と戦えるレベルの者でなければ、サタ子と戦うことはできない。


「確かに俺は、記憶喪失のちっぽけな人間で、天使たちの個性にも勝てずに、存在すら忘れられる人間だ。でも、分からないさ、やってみないと分からないさ!」


俺は、悪魔サタ子と戦う決心をした。


「あなたなら勝てますよ!」

「デビちゃん。」

「だってあなたは正義の使いの弟子なんですから!」

「そうだね。すぐに助けるからね!」


俺と正義の使いさまは、師弟関係よりも深い信頼で結ばれていた。


「いいだろう。少し遊んでやるぞ、人間。」

「あなたは人間に勝てませんよ。」

「なに?」

「あの人間は、元勇者です!」

「なんだと!?」


小悪魔の言葉に、サタ子は驚いた。


「それは、どういう・・・!? なんだ!?」


その時、俺は神に祈った。


「来い! 俺の剣!」


空が割れ、魔王も倒せる神の剣が舞い降りてきた。俺は自分の剣をしっかりと掴む。続けて光の魔法陣を描き、呪文を唱える。


「いでよ! ドラゴンのドラちゃん!」


ポンっと、光の魔法陣からドラゴンが現れる。


「やったー! 正座から解放された!」

「ドラちゃん、背中に乗せてね。」

「いいですよ、できれば、ナイちゃんも召喚してあげてください。」

「分かった。ただし、あいつを倒したらね。」

「あいつ? ・・・ギャア!? あれは魔王サタンさま!?」


俺は、ドラちゃんの背中に飛び乗り、ドラゴンライダーとなる。


「いくぞ! サタ子!」


記憶喪失の俺と悪魔サタ子の戦いが始まった。


つづく。











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