第22話 「あの方」堕天使
俺たちがオオカミと戦っている頃、魔界のある所で、今時レトロな、水晶玉で俺たちの様子を見ている「あの方」がいらっしゃった。
「あなた! そこよ! オオカミなんて、ぶっ飛ばせ!」
「あの方」は俺の活躍を喜んでいた。
「それにしても、スーデビの性で、まったく魔界にやってくる雰囲気がない。」
そう、スーデビこと正義の使いの小悪魔のデビちゃんは、「あの方」が自分のことを怒っていると思い、あえて魔界には近づかないのであった。
「あんたたちも役に立たないし・・・。」
ジロっと横を見ると、ナイトメアのナイちゃん。ドラゴンのドラちゃん。悪魔のデーちゃんが正座させられていた。
「お許しください。」
「勘弁してください。」
「悪魔、辞めたいよ。」
「はぁ・・・。こいつらじゃダメだわ!」
「あの方」は、奥の手を出す決心した。闇の魔法陣を描き、呪文を唱える。
「いでよ! 堕天使シルファー!」
闇のオーラを放ちながら、堕天使が現れた。
「お呼びでしょうか?」
「よく来た、シル子よ。」
「あの・・・その呼び方は恥ずかしいので、シルファーと普通に読んで・・・。」
「お黙り!」
「ヒィイ!?」
「シル子は、シル子よ!」
堕天使シルファーのシル子が現れた。ミカ子、ガブ子、ウリ子、ラファ子・・・天使は、みんな素敵な名前なのだった。
「シル子、地上に行って、スーデビを連れ戻してきてちょうだい。」
「そんな簡単なことでいいんですか?」
「スーデビは、正義の使いさまと自分のことを偽って、天使を4人も護衛につけているわよ!」
「小悪魔に天使が4人も!?」
「あとスーデビには、人間の弟子もいるから、怪我をさせないように丁重にお連れしてね。」
「人間もですか?」
「スーデビは死んでてもいいけど、人間は生きたまま連れてきなさいよ。」
「承知いたしました。」
堕天使のシル子は、「あの方」の元を去り、地上を目指した。
「これで、あなたに会うことができるわ! ルルルン!」
「あの方」は、ウキウキして一人で鼻歌を歌いながら踊っていた。
つづく。
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