第5話 第2天使

「あなたは、○○なのよ!」


女性の声が聞こえる。


「ん、んん?」


俺は、その声で目を覚ました。夢の中の女神さまは、俺は○○だと言う。しかし、記憶喪失なので、自分が何者なのか、分からない。


「今日は忘れ物はないでしょうね?」

「教科書も持ってきたよ。」

「それならいいです。」

「あ、ノートを忘れた!?」

「ズコー!?」


忘れ物が多いのは、記憶喪失のせいだ。俺は、正義の使いの小悪魔のデビちゃんと一緒に、学校に向かっている。


「夢の中の女神さまが、「あなたは、○○なのよ!」って言うんだ。」

「ええ!? 「あの方」の方が、私より先に正体をばらしそうですね・・・。」


正義の使いは、「あの方」が、さっさと正体を言ってくれる、こんな男に付き合わなくていいと思っている。


「俺は、記憶を失う前は、何だったんだろう?」

「あなたが記憶を取り戻したら、世界が滅びて、「あの方」も喜び・・・。」


その時だった。正義の使いの体に、ビリビリ電撃が走る。


「ギャア!!!!!!!!!!!!!!!!!」


正義の使いは、真っ黒焦げになってしまった。「あの方」のことをしゃべるのはタブーなのである。


「ゲフ~。」

「ここまでが、お約束です。」

「早く、記憶を取り戻して下さい・・・。」


正義の使いは、本当は、小悪魔のデビちゃんなので、俺を欺いている、天罰が下っている。


「おはよう。」

「おはよう。」

「おはよう。」


記憶喪失の俺の名前は、サタン。名前を付けてくれたのが、デビちゃん。カワイイ女の子は、天使のラファ子ちゃん。元○○と、小悪魔と、天使が仲良しの友達になってしまった。


「ラファ子ちゃん、ノートを忘れちゃったんだ。ニヤッ。」


俺は記憶喪失を悪用して、かわいいラファ子ちゃんに近づく。


「コイツ!? 確信犯だな!?」


小悪魔よりも悪魔な俺。


「どうぞ。ノートも半分、使っていいよ。」

「ありがとう。」

「私も、ノートの真ん中を使うので、3等分にして下さい!」


正義の使いは、悪魔の名にかけて、俺と天使の間に入り、仲を邪魔する気だった。


「へへへ!」

「クソ!」


俺と正義の使いは、お互いを不気味に見つめる。



「ラファ子!」


そこに一人の女生徒が駆け込んでくる。


「ウリ子ちゃん!?」

「ラファ子! 宿題、見せて!」

「いいよ。はい、どうぞ。」

「ありがとう。ラファ子!」

「く、苦しいよ・・・!?」


癒し系の優しいラファ子は、宿題をウリ子に差し出す。ウリ子は、ラファ子に感激の涙を流しながら抱き着く。


「ラファ子ちゃん、そちらは?」

「友達のウリ子ちゃんです。」

「ウリ子?」


野球場で、


「ビール、いかがですか! 枝豆もありますよ! ・・・違う!」


八百屋で、


「瓜、いかがですか! 奥さん! 今日の瓜は大きいよ! ・・・違う!」


夜の街で、


「おじさん、私を買ってください! 今なら5万でいいですよ! 安くしときます! ・・・違う!」


ラファ子ちゃんと同じく、天使のウリエルのウリ子ちゃんだ。


「はぁ・・・はぁ・・・、なんなんだ、この疲れるヤツは?」

「転校生の記憶喪失のサタンくんと、正義の使いのデビちゃんです。」

「よろしく。サタンです。」

「どちらかというと・・・勇者ヅラだな?」

「ギャアアアアアアア!? エイ!」

「ムゴムゴ!?」


エイっと、デビちゃんは、とっさにウリ子の口を全身で塞ぐ。ウリ子は、この物語のトップシークレットに触れてしまったのだ。ウリ子は、デビちゃんの首根っこを摘まんで、口からどける。


「はぁ・・・、なんなんだ、この悪魔は?」

「デビちゃんは、悪魔ではありません! 正義の使いです!(ウソ。)」

「そうだぞ! 神々と交信できるんだぞ!」

「正義の使いさまは、我々、天使よりも上位クラスなんですよ!」


まさに悪魔にささやかれ洗脳された人間も天使も、悪魔の言いなりになるのだ。


「なら天使ごときの光も炎も平気だよな?」

「なに!?」

「灼熱地獄を味合わせてやる!」

「ギャア!?」


ウリ子は、片手に光、もう片手に炎を出す。天使ウリエルは、神から光と炎を託されているのだ。正義の使いは光と炎を見てビビる。


「ハハハハハッ! そんなもの神々と交信ができる正義の使いさまも、雷と炎をお使いになるぞ!」

「え!?」

「そうよ! 正義の使いさまは、自己回復だってできるのよ!」

「なんだと!?」

「どうぞ、正義の使いさま。」

「ええ!? この展開は・・・まさか!?」


ゴクンと唾を呑み込み、デビちゃんは覚悟を決める。


「神々と交信できる、正義の使いの恐ろしさを見せてやろう!(ウソ。)」


まず、デビちゃんは叫んだ。


「「あの方」の正体は・・・。」


その時だった。正義の使いの体に、ビリビリ電撃が走る。


「ギャア!!!!!!!!!!!!!!!!!」


正義の使いは、真っ黒焦げになってしまった。「あの方」のことをしゃべるのはタブーなのである。


「おお!? これはまさに、神のイカズチ!?」

「正義の使いさま、ありがたや、ありがたや。」

「さすが! 正義の使いさま。」

「ゲフ~。」


次に、紙とペンを出し、書き始めた。


「「あの方」の寝相は・・・。」


その時だった。正義の使いの体が、ボウボウと火炎に包まれる。


「ギャア!!!!!!!!!!!!!!!!!」


正義の使いは、真っ黒焦げになってしまった。「あの方」のことを書くのはタブーなのである。


「おお!? これはまさに、神の炎!?」

「正義の使いさま、ありがたや、ありがたや。」

「さすが! 正義の使いさま。」

「ゲフ~。」


最後に、3人に悪魔は囁いた。


「私は、神々にお仕えする、正義の使いであるぞ!(ウソ。)」


悪魔は人間を騙すことにより、見る見る真っ黒焦げな体が、元のきれいな姿に戻っていく。


「傷が治っていく!? これは、奇跡だ!?」


まさに、神の使いに見えた。数々の奇跡を見て、ウリ子は数々の無礼をお詫びする。


「はは! 神の使いとは知らずに、お疑いになったことを、お許しください!」

「顔を上げなさい。」

「はい!?」

「安心しなさい、神は全てを許している。(ウソ。)」

「はは! ありがたや! ありがたや!」

「なんて心が広いんだ!」

「私、感動しました!」

「神は偉大である!(ウソ。)」


デビちゃんは、背中が少しかゆくなってきた。しかし、手が届かない。


「悪魔なんですけどね。エヘ。」


俺と天使は、憧れの眼差しで、本当は悪魔の正義の使い、デビちゃんをキラキラした目で見つめている。


「ああ~! これが正義のチカラなのですね! 小悪魔に生まれた、私の憧れ、正義のチカラ! ああ~! 人間と天使の羨望の眼差しが心地いい~!」


興奮が抑えられない、デビちゃんは、悪魔、失格である。


そこに先生がやってきた。


「それでは、宿題を集めます。」

「やった! ラファ子のおかげで、宿題できてるもんね!」


ウリ子は宿題を提出できた。もちろん、ラファ子もOK。


「正義の使いさま。」

「なんですか?」

「あの・・・宿題ってなんですか?」

「ズコー!?」


忘れ物が多い目の勇者!? 忘れ物が多い勇者!? なのだが、正義の使いは、小悪魔!? にタイトルが変わる日も近いかも!?


つづく。


あらすじ。


「おまえは何を忘れた?」。女性の声で夢から覚めた俺は、名前も、どうやって生きてきたのかも、全ての記憶を失っていた。そんな俺の前に、正義の使いが現れた。小悪魔のデビちゃんに騙されているとも知らずに・・・。「あの方」とは、いったい誰なのだろう!?


「自分の名前も思い出せないのか?」。サタン、俺の名前が決まった。正義の使いさまが、神々と交信をしてつけてくれたらしい。この正義の使いさまは、「あの方」のことを話そうとするとイカズチが降り、書こうとすると炎で燃える、そして人を騙すと傷が回復する。人を騙すことは、まさに! 悪魔のささやきだった!?


「私のことは覚えていないのか?」。学校に、転校生として転入した俺。記憶が無いので、分からないことだらけである。忘れ物が多い俺に、隣の席のカワイイ女の子がペンや消しゴムを貸してくれた。忘れ物も悪くはない!? しかし、この状況に正義の使いさまは、「あの方」がお怒りになると、気が気ではないのだった!?


「私を忘れたら、許さない!」。俺は、学校生活を楽しんでいた。俺の席の隣のカワイイ女の子、天使ラファエルのラファ子ちゃんがいるからだ。俺は、忘れ物を記憶喪失のせいにして、ラファ子ちゃんに近づくという。まさに! 悪魔も驚く、外道ぶりを発揮していた俺の前に、正義の使いさまが立ちはだかる!?


「あなたは、○○なのよ!」。まだ俺の記憶は戻らない。「あの方」についても謎。まさに、ミステリーである。ラファ子の友達のウリ子が現れて、正義の使いさまの正体を悪魔と見破った!? 正義の使いさまと天使ウリエルとの命をかけた戦いが繰り広げられる!?


終わる。

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