ぼっちのおれが幼馴染の美少女とラブコメしている件。

あすか

1章

ラブコメなんて

来ヶ谷くるがや君……ずっと前からあなたのことが……好きでした!」


 目の前に映る文字に目を落としながら呆然と画面を見つめる。

 ネットで評判のゲームを買ってみたものの、ふたを開けてみれば、ただの恋愛ゲームだった。


 ゲームの初期設定で、主人公の名前を入力するのも最近のゲームじゃよくあることだし、大しておかしくないと思っていたが、甘かった……

 というか、紛らわしいパッケージで販売するなよ。大剣持ってる主人公が写ってたらアクション系とかだと思うじゃん……

 まさかの大剣が携帯のキーホルダーでしたって、無理ありすぎだろ。

 こうなったら苦情のメール送ってやる。

 ネットのスレッドにも書き込んでやるか。


「はは……はぁ……」


 乾いた笑いをしつつ、ため息が思わず溢れてしまう。

 とりあえず、セーブをしてから携帯ゲーム機の電源を落とし、テーブルの上に置く。

 こんなかわいい女の子に告白されるなんて、普通ありえないだろ。

 しかもラッキースケベなイベントが、もれなく付いてるなんて。

 そんなことを思いながら、ベッドの上に横になり、ぼーっと天井を見つめる。

 ラブコメなんて、所詮フィクションだ。現実には起こり得ない。

 そう思っていた。この時までは。


 10月2日、夜の7時30分。


「というわけでお前、今日から門川かどかわさん家に住むことになったから」


「はぁぁぁぁ!!?」


 予想外もしていない、ありえないことが起きた。

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