おやつの準備をしてるんだから、当然味見って必要だよね?

小雨路 あんづ

プロローグ

 遥か昔、世界が崩壊しかけた時。

 自らの才能へびを使い世界を創造し、人々の崩壊を終わらせた者がいた。


 その名はキメラ。


 ゆえに、創世の神と崇められ、人々に7つの加護を与えたと讃えられ、神殿では御神体として祀られ。


 キメラが今も住んでいると信じられているためそう名付けられた神居の森の奥。人の手がけして入ることがないさらに奥に。

 巨大な湖の真ん中に、ぽつんと建つ塔を背景にしてその小さな喫茶店はあった。


 赤い屋根に赤レンガでできた壁、入口の扉はまだ新しい木目で、まるでお伽話にでも出てきそうなほど可愛らしい外観。

 看板も出していない、一見するとただの小屋にも見える風体で。


 そこに、キメラが経営する喫茶店はあった。


 かと言って客が来るかといえば閑古鳥が3羽くらい鳴きまくっているそこは、もっぱら今代のキメラ・神無月咲也子かんなづきさくやことその才能へびたちのおやつティータイムの場所となっていた。


 ほら、今日もまた。


 敬愛する主と弟妹たちのため、傲慢の才能へび・クロエがお菓子作りに勤しんでいるのだ。

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