19話【世界で一番愛しい人】
ピロリンッ
「あ、LINE」
「誰」
「んーまあー」
LINEを開くと心愛からだった。相変わらずのなんともない会話の始まりだろう、正直面倒くさいが。
なに?とだけ返した
「なあ、誰」
後ろから抱かれているのでのぞき込むようにみてきた
「ここあだって」
「…ふーん」
どんどん話題が出されるので返していく、終わりがない。
「ねえ、るい」
「…」
揺さぶられる
望々の甘い匂いが眠気を誘ってくる。
もう面倒くさいし、未読無視にしよう。望々を放っておいてでもすることじゃない。
立ち上がってスマホを机に置きに行く
「るい」
「なあに?」
私のベットで定位置としてあぐらをかいて座る望々の上に座る。
「好きだよ」
頬に手を添えられて唇に暖かいものが重なる。
腰を支えられてゆっくりと倒される。
「ぷはぁ」
頬に添えられていた手は私の髪をゆっくりと撫でて行く。
首筋に顔がきて、少しだけ痛みが走る。
「んっ…」
一度痕をつけてはそれを確認してまたつけていく。
ピロリンッ
「あ、LINE…」
「うるさい」
起き上がって取りに行こうとしたら後ろから掴まれ背面責めみたいな形になった。
「ねえ、ちょっと…」
「いいから、黙って」
さっきと同じ首筋にまたつけていく、たまに甘噛みをしてくる。
腰に回されて捕まえられていた腕はお腹から探ってくる、ゆっくりとなぞるのがくすぐったい。
「んふっ…ひゃあっ…」
首筋に痕をつけたり噛んだり舐めたり、舌ですっとなぞってたまに耳に行ったり、手は太ももやお腹をまさぐってくる。
「ねえ、今日っど、どうしたの…あうっ」
全くの無言で攻め続けてくる。
だんだん痕をつける力が強くなってきて、見なくてもわかるほどすごく痕がついているのではないだろうか。
「ののってばぁ…やあっ」
「声大きい」
口をふさがれて息苦しくなる、それが逆に気持ちがいい。
「んんんっ…んうっ」
「んっ…はあ…」
手を離される、力が入らないのでそのまま望々の方へ倒れ込む。
「るい」
「…なあに?」
「のののこと好き?」
不安そうな目で聞いてくる、一人称が名前になってるということは気が抜けているのだろう
「すき」
「…そっかぁ」
優しくキスをされる。乱暴なのも好きだけど、こんな優しいのも好き。
包まれるかのように抱かれると、自然とまぶたが閉じた。重くてなかなか開けられない。
「少し…寝てもいい?」
甘い匂いが眠気を誘い、もう意識がもたない
「寝ていいよ、おやすみ。」
その言葉を聞いてまた眠った。
望々がいると嫌な夢を見ない、幸せな夢を見る。暖かくて、甘くて、優しいこの中で永遠にいたい。これじゃあ依存しきってしまっているなぁ
望々がいないと私は壊れてしまうかもしれない。
ほんのりと走る首筋の痛みの心地よさと、抱き抱えられている腕の暖かさ、甘い香り、それを覚えてゆっくりと眠りについた。
「真っ赤だな」
貪るようにつけた真っ赤な痕をなぞる。白い首筋によくはえている。
「これ、傷的な感じで残ったりしないよな」
色々なところにつきまくっているのを、確認していく。
「まあ、それはそれで俺のみたいでいいか」
独占欲がかきたてられる。
服を捲ればまだ真っ白なキャンバスが現れる。
「どうせならここらも真っ赤にしとこ」
ゆっくりと味わうようにつけていく。人に見えそうなところ、人には見えないところ、瑠李自身がわからない場所。
「背中にもつけたいけど、寝てるしいいか」
全身に花が咲いたみたいに痕がついた。起きたら怒られるかもななんて考えながら眠る瑠李の横に自分も寝そべる。
「いい匂い」
抱きしめて胸に顔をうずめてそのまま目を閉じる。
暖かい体温が心地いい
「ん…」
腕が回ってきて抱き抱えられているような状態になった。
「俺も寝るか」
ピロリンッ
ピロリンッ
ピロリンッピロリンッ
ピロリンッピロリンッピロリンッ
「うるさいなぁ」
ピロリンッ
目が覚めた。
…瑠李の携帯か。
ピロリンッ
…CoCoA…ここあ…ああ、あいつか。
瑠李も優しいよな。
ピロリンッ
あーもううるさい
…通知切るか
「ねえ、るいどうして出てくれないの」
爪を噛む
「またののとかっていうやつのせい?」
携帯の電源を落とす。
「どうしてここあを選んでくれないの」
どうして?
「許さない」
どうして?
「ここあのものをとるなんて絶対許さないんだから」
「んっ…」
今何時だろう
身を起こすと望々の腕が落ちた。いい感じにそれを直して、スマホをとる。
通知が約150件。しかも約100件以上は
「ここあ…か」
LINEは開かずに時間だけ確認する
「4時…」
夜の12時をまわるどころか朝になっていた。
スマホを置いてもう一度横になる。
目の前にある大好きな人の口にキスを落とす。
「好き、大好き、愛してる」
髪を直し撫でる。
「絶対に離さない」
離しやしない
「あーあ、真っ赤。まるで体の一部がののになったみたい」
体の至る所についた彼女の印。そんな独占欲の痕が嬉しくて、幸せでどんどん依存していってしまう。
「体じゃ足りないなぁ」
叶うなら望々を誰も見つからないところへ閉じこめてしまいたい、外には出さず私だけを狂ってしまうぐらい愛させたい。
だけど、私は狂いそうなぐらい愛してるから。
「ふふ、世界で一番私の愛しい人。」
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