トグル螺子

ノートに正を書いて

数えてみたら

見る間に 見る間に

生きてる者に変幻しては

壁に吹きつける風を

屋根に打ちつける雨を

喉の奥に収納していく

怠惰な 怠惰な

寂しげな火でした




親指の爪が

赤黒く地獄色になると

次の機会 次の機会

新しく出てきた爪先は

何かに引っかかる事を恐れ

ポケットの中に常時 吐いた

桜の花弁が終わった後

始まりを奏で始めたのは

一体 何者だろうか




夢物語の中で暮らして居る

直角三角形の部屋で暮らして居る

長方形の部屋は秘密基地

黄金色の畳の上で

純白の布団を敷いて

破壊した時計を抱いて

眠る 眠る 眠る

全てが綺麗なままで

即身成仏する




スイッチバックの電車に

藁人形が積まれていた

すれ違いざまに

こちらに来てはいけない

音が聞こえる

電車は動き始めた

大切なイメージを

宝箱にいれる

誰の為の始まり 初まり




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