片田舎で強欲というモノを垣間見た話

江戸川原 うんぽ

出発

 ある暇な日に然程性欲も湧かなかったので風俗に行くこともなく、またお金も勿体ないのでギャンブルに注ぎ込むこともなく、何をして過ごそうかと考えて日帰りの小旅行に出かけることにした。

 手荷物を携えて最寄りの駅へ向かい電車に乗った。何度か乗り換えをしてX県に到着。普通に来るのも芸が無いと少し贅沢をして観光列車に乗ってみたものの「はあ、そうですか」といった風で特に感動することもなく、また車窓からの景色も通常運行の列車と変わらないので「なんだかなぁ」という感じだったが、乗車した事は後悔せずに来られた。ホームに降りて伸びをする。何時も居る場所からずいぶんと遠い場所なので深呼吸をすると同じ空気でも何となく違う心地がするから不思議だ。

 到着したのはお昼前だったので昼御飯を食べようと近辺をぶらついてみる。すると雑誌にも掲載されている有名なラーメン屋があった。この日は平日で行列もそれ程ではなかったのでその店でラーメンを食べて腹を満たした。美味しかったが一度行けばもう行かないだろう。だいたいラーメンなんていうものは近所にある普通のラーメンで充分なのだ。支払いを済ませ「美味しかったです。また来ますわ。」とお世辞丸出しで店を出る。

 昼御飯を食べ終わってもすることが無い。またしばらくブラブラしたが詮無いので帰ることにした。もと来た路線で帰るのも嫌だったので別の路線を利用することにして時刻表を確認する。往路の主要路線と違って復路は山中を走っており本数が少ない。しばらく待つ必要があったので再度駅前の商業ビル周りをウロウロして時間を潰していると美女からマッサージのチラシを貰った。今なら待ちなしで施術を受けられるとのことで30分からコースがある。旅先で無かったはずの欲望がムクムクと湧いてきたが(早まるな健全なマッサージ店だぞ。それにチラシ配りの姉さんが施術するのではなく、おそらくはオッサンがやってるのだろう)と気を静めて諦める。そのうち時刻が近づいてきたのでホームに向かい電車が入ってきたので乗車した。

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