大主食撃滅戦~悪兎渡来挙姻~

間章「●●●-F072435」

 警告:登録‐【            】‐の承認事前申告を要す


 貴方がアクセスしているこの情報は有機媒体、無機物媒体、もしくはあらゆる波を用いる全ての情報媒体における全知覚の公共優先権[前改定における文明時に存在した全知覚者間の知覚資源公共提供義務]を破棄する前提としてクリアランス・ブルー以上のコード保持者にのみ承認者の生命活動の停止を持って開示される事とします。この情報のセキュリティ/プロトコルは前時代[情報所有者間の譲渡受け渡し時の文明より一世代前の文明]より改定されている場合があり、この情報の知覚者に対するミーム汚染による情報変質を避ける為、取得者は取得時よりクリアランス/クリアを取得する事となります[クリアランス/クリアは非常時、現地球上の共同体間における最大陸戦協定ユーラシア・コネクト/D223-1の特秘事項に補記された生存の為に予期される共有資源リソース消費を所属共同体全体が共有する0.3%まで許容してでも退避が推奨される特別なクリアランスです]。予防措置として可能ならば、情報の取得から3時間以内に所属する社会集団の定める法規に関わらず前頭葉グリア細胞間の受容体分子の感受性を恒常的に下げる薬剤を投薬する事を推奨します。これにより思考電磁窃取の可能性が飛躍的に下がります[3文明前より追記]


 取得者情報を共同体ストレージより全破棄/リクエスト実行中。


 ―――不正ア―――正常作動中―――全防壁展―――正常作動中。


 ―――42%―――84%―――99%―――お待たせ致しました……ファイルを取得します。


 全情報を取得者の大陸標準言語もしくはマスター言語-JP-に変換……完了。


 ●●●-F154235


 クラス:タウミエル


 ナンバリング/スタイル:●●●-F154235は本来のナンバリングとは違い、その特異性から全ての個体に番号が割り振られます。また、ナンバリングされた後に情報が引き継がれた個体が現れた場合は事前番号に付随して1から番号を順次追記します。現在の番号である上記のF154235はそれまでの個体数がF154234[体]まで居た事を示し、このファイル情報の再構成時の固体数まで特異的な記述に値する個体がいない場合、その間の番号は飛ばされ、記述されません。


 概要:●●●-F154235は過去10万年以上を遡り、ありとあらゆる時代に存在を確認されている特異存在です。その大本は大戦最初期より前、極東地区にあった国家共同体の前身国家に存在した人物であると思われ、これを事実上のオリジナル。●●●-F001と呼称します。この●●●-F001が委員会の前身機関[     ]を創設した集団の一人、その子供である事が確認されています。


 ●●●-F001がその存在を登録されるまでに●●●-F034332までの個体がいた事がマスターマシンの特別演算割り当て内のログに発見されました。これはマスターマシン内におけるブラックボックスが要求する非常に大きなデータ量を伴う謎の条件であるとされてきましたが、当時の●●●-F034331が確認された当時の保守管理者がブラックボックスの一部を解析出来た事で事態が発覚しました。


 ●●●-Fナンバーはこの時点では単なるオリジナルの記憶コピーでしかなく。恐らくはマスターマシンのブラックボックス製造者の感情的な理由による創出物であるとの判断が下され、当時既に高資源性の人格ストレージが普及していた事もあり、収容もしくは保護するまでもない過去の遺物アノマラスに該当するとされましたが、その評価は後の文明に●●●-F072435が出現した事によって覆されました。


 当時、●●●-F072435が出現した文明における役割は非常に多岐に及ぶ為、補記001から023までの何れかを参照して下さい。●●●-F072435はその発生時より、その当該地域の共同体内で生活を送っている様子がログには散見されました。しかし、共同生活を送っていた人物[当該女性体をAと呼称]の死亡と同時期に当該地域の国家共同体の軍に入隊。短期間の内に前期文明の遺産などを手中にして頭角を現し、最終的には将補まで上り詰めた事が確認されています。このログに興味を持った当時の保守管理者が調べていく内にその特異性に気付きました。●●●-F072435は能力的にはオリジナルとほぼ差がないであろうという事が遺伝情報のログより確認されました。が、その遺伝コードと全人格データが大戦最初期からのあらゆる電子機器、兵器、システム、人類の構成する共同体の新規計画、新規構想においての電子登録名簿に記載され、その登録先における最高権限を有しているという事実は保守管理者及び当該情報の取得が可能な全クリアランスの人員を震撼させるに到りました。これは大戦最初期よりマスターマシンが関わってきた全情報、全データにおける完全なバックドアであり、ブラックボックスがある限り、これからも人類規模でマスターマシンが運用される限り、人類が電子機器を扱う限り、避けられない完全に防止不能の電子汚染要因と結論されたからです。


 ●●●-F072435の出現と削除後、数体の個体が出現し、同様に終了されましたが、あらゆる生体製造設備において登録名簿上、必ず再現されて現れる●●●-Fナンバーを完全に駆除する事は叶わず。この事実によってバニンシグ/プロトコルは廃棄され、新プロトコルが建議されました。これにより、●●●-Fナンバーは当時の収容違反の筆頭として最初期はケテルに分類され、その後は経過観察と社会的な集団内での収容を目的としたプラグマティック/プロトコルによる間接収容が妥当とされた為、ユークリッドに分類される事となりました。プラグマティック/プロトコルに付いての詳細は収容方法と合わせ、特別収容プロトコルの項を参照され―――。


【―――頁項目が更新されました―――続きを御読みになる場合は次頁に移動して下さい―――この情報の読み込みはアナログ知覚のみで行われます―――ご迷惑をお掛けしていますが、古代機能項目からアプリケーションをダウンロードし、指での接触式スクロール機能をご利用下さい-前保守管理者-】

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