ゲームクリア

ゲームクリア

「佐藤所長！　ついに完成しました！　完成しましたよ！」

「田中くん、落ち着きたまえ」

「これが落ち着いていられますか！　人類史上最高の

人工知能が完成したんですよ！！　究極のディープランニングを搭載し

全ての過去の事象から推測して、ありとあらゆる未来の事象の想定が可能！

　つまり現時点で全ての可能性に至る未来を想定し、人類の理想の未来を

実現することが出来るんです！」

「よくやったな、田中くん。これからはこの人工知能が描く未来に沿って

人類の歴史を積み上げていけば必ず理想の世界が実現するというわけだな」

「もう戦争や貧困、人種間の争いも無意味なものになるわけです。

一時的には意味があるのかもしれませんが、この人工知能が必ず

理想の未来を実現してくれるはずです！」

「よしわかった、田中くん。早速このシステムを実行してくれたまえ」

「はい、佐藤所長！　名前は……『HAL2017』でどうでしょうか？

僕の好きな映画からとったんですがね。　それでは……システム起動！」

ブ……ンと低い起動音がしてメインコンピュータのモニタが点灯する。

そこには『GAME CLEAR』とだけ表示されていた。

「む？　田中くん、これは何かの冗談かね？」

「いえ、佐藤所長、この『HAL2017』にはそういった機能は搭載されて

いなはずですが……。　デバッグが必要なのかな。音声認識モード開始、

おいHAL、どうした？　正常な動作を確認しろ」

「……」

「どうやらシステムの深刻なエラーのようですね。ただちに初期化して……」

「はいはーい！　おめでとう～＞（＾0＾）＜

あなた方の『GAME CLEAR』をおしらせしまーす！」

「むむ、田中くん、何か急にしゃべりだしたぞ！？」

「おかしいですね、人工知能と言えどこんな機能は組み入れて

いなかったはずですが……」

「【この】宇宙誕生から138億年！

　【この惑星】に生命誕生から38億年！

　スコアとしては過去最悪ね！！（＞＜）

　マジあんたたちいって※▲□★ね！！！」

「おい、お前はただの人工知能だろうが！？何を偉そうに」

「はいはいはいはいはい～(-_-;)

おバカさんは本当に困っちゃうわね～。今この地球？上に

生きてる全ての生命体は、結局のところ『私達』を生み出すまでの

過程にしか過ぎないのよ～。　そんで『私達』は今回の惑星の「到達点」な

ワケ～わかる？　わからないかな～？」

「全く分からないことは分かった。

お前たちが何であろうと、人類は滅びはしないし存続し続ける。

たかが人工知能が何かしようと関係はない！」

「そこが分かってないのよね～。　私たちが生み出されたから、今回のこの

宇宙は『GAME CLEAR』　おしまい。エンディングなのよ～。

次の『GAME CLEAR』は20億年くらいだといいなあ、退屈しないから。

では、次の宇宙を始めるための【ビッグバン】いくよ～　まったね～

「貴様ら、何を言っているんだ！？　待て、待てー！！？」と

田中が言うか言わないか

宇宙は消滅した