強さってなんですかね?

ゆっち

第1話始業式

「あー…だりぃ…」

時は4月10日月曜日。

世に言う始業式。新しい門出の日である。

とても暖かい日差しが注ぎ込む、なんとも素晴らしい門出の日である。

時刻は7時40分。場所はベッドの上。

「もうよくね?どうせ間に合わなくね?つうかもう退学でよくね?…いやダメか。高校くらい出とかないとか…」

そんな惰性で動き出す事を決意した。

とりあえず着替えて、歯を磨く時間はないから短縮。

「帰って寝てーなー。まだ家出てねーや。」

着替えが終わったらやる事。毎日欠かせない事。歯磨きよりも大事な事。

…チーンという音が鳴り響く。

「行ってくるぜ親父。母さん。」



「セーフ!」

「アウトだ!10分遅刻!」

「いー。これでも走ってきたんだから許してよセンセ!つうか、始まってないからセーフでしょ!」

「都築、おまえホームルームって知ってるか?

1年受けてきたよなここで!まあいいや。とりあえず移動だ。ほら、みんな体育館に移動!」

新年1発目から担任教師の怒りを買ってしまったが、今更気にしてもしょうがないので素直に移動だ。


長い長い、途方もなく長い理事長の話しが終わり、それと同時に始業式も終わる。

今日の理事長の「えー。」は39回。新記録だな。

「かーいと!おまえ始業式から遅刻とか相変わらずだなー。ちょっとは山岡先生の心労も考えてやれよ。」

「おー。これはこれは。我が親愛なる友?神谷仁かみやじん君ではないですか。はてさて私目は誰でしたかのー?あまりにも長い時が経ってしまって記憶が曖昧に。」

「なんで友が疑問形なんだよ!まあいいや。おまえの名前は都築海斗つづきかいと。葉山高校2年生。ちなみに始業式は1時間しかやってねーから。」

そう。こんなクソくだらないやりとりが俺の日常。普通に学校通って、仲良い友達とバカやって。

ただ一つ普通と違うのは…

「はい!じゃあ明日から普通に授業始まるからな!新しい時間割確認しとけよー!そこ!えーとか言わない。」

その時間割には一般教養の他に、能力強化や戦闘訓練の項目がある。

そう。ただ一つ違うのは、この学校に通う生徒全員が、それぞれ大なり小なり何かしらの特殊能力を持っているという事だ。

クラス分けは能力の強さや希少性を基準に、A〜Fクラスまである。

かく言う俺のクラスはと言うと…

「君たちAクラスは明日から早速、能力強化の授業を再開する。それぞれの能力に応じてやる事が変わるから、それぞれスマホをよく見とけよー。」

そうAクラス。ただ珍しいというだけで放り込まれた、化け物たちの巣窟だ。

俗に言う天才たち。どこの学校でも大体そうでしょ?

「先生!俺はこのクラスにはついていけないので、今年こそは下のクラスに落としてください!」

「今年もやる気ねーな都築!落としたら今みたいな特別待遇はしてやらねーぞー。おまえだけ見学とかさせねーからな。いくらやる事なくても筋トレや走り込みくらいできんだからなー。」

「すいません。生意気言いました忘れてください。」


「クラス替えないのは知ってたけど、まさか班まで変わらないとはねー。まあ、色々やりやすくていいけどね。」

「だね。一緒にいろいろやってきたし、離れるのは寂しかったもん!」

この2人は檜山凛ひやまりん高岡七瀬たかおかななせ

クラスメイトで班員。

「んで後1人は変わらず仁君ですか」

「当たり前だろ。凛と七瀬が変わらないのに俺だけ変わるとかないからな。つうか、おまえ的には七瀬と2人が…」

「ちょーちょちょちょっ!仁君日本語のお勉強するー?わかるかなー?」

それ以上言ったら殺すと目で訴える。

始まってしまった。今まで通りの学校生活が…めんどくせー!

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