ゲームしよ?って誘ってくれる彼女

漂白済

ゲームに誘ってくる子犬系彼女

「やっほ。来ちゃった」

 あみは部屋の扉を勝手に開けると、当然のように入り込んでテレビの前に座り込んだ。


「ん? 連絡よこせって? あ~、まぁアンタっていつも暇じゃん? だからいっかな~って」

 あみは勝手にテレビ台を漁って、ゲーム機を引っ張り出してくる。最新のハードだ。バイト代をつぎ込んで発売日に買ったものだ。


「このゲーム、やりたかったんだよね。ゲーム雑誌の記事読んでさ。そういえばアイツ持ってたなぁ…って思ってさ」

 あみはゲーム機を立ち上げるとゲームのディスクを読み込ませる。すると画面いっぱいにゾンビの映像が流れ始めた。あみが選んだのは最近発売されたゾンビシューティング大作の最新作だ。そのグラフィックの鮮明さに驚いて「おおっ~」と声を上げる。


「流石は最新のゲームじゃん! 早くやろ! え…? 一緒にやんないの? なんでなんで!? 宿題なんていいじゃん! やろうよゲーム! せっかく私が遊びに来てるんだよ!?」

 ちなみに来週からは期末考査が始まる。冗談でもあみの成績では赤点は免れ得ない。そもそも今日は勉強する為の半休なのだ。いつもあみは勉強を教えろ、とテストの前日に泣きついてくる。もう少し計画的に生きてほしい…。


「勉強はいいのかって? いいわけないけどさー…。でもでも! せっかくアンタが最新ゲームハード買ったって言うから遊びに来たのに………」

 あみの表情が落ち込んだものに変わってしまう。子犬みたいなやつなのだ。感情の浮き沈みが激しいというか…。


「一回だけ、一緒に遊ばない? そしたら勉強するからっ! お願い!」

 あみは両手を合わせて頼んでくる。

 勉強はしなければ、あみのテストの結果は真っ赤と決まっている。このあとの夏休みは補習が確定してゲームどころではないのだが………。


「ほんと!? うん、一回だけ! 約束だから! はいコントローラー!」

 満面の笑みであみはコントローラーを渡してくれる。その笑顔は見る度に子供っぽいなと思ってしまうが、あみの笑顔を見るとこっちも嬉しくなってしまうのだから…しょうがない。勉強の方は、まぁ…こっちで何とかしてやろう。


「よ~し! ハイスコア狙おうハイスコア!」

 喜々としてスタートボタンを押した。画面が暗転して、お決まりの「ばぁ~いおぅはぁざぁ~どぅ」というボイスが入った。そしてゲームが始まる…。

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