霊感を感じる朝

朝5時過ぎに散歩をしている。

空気は冷たく、とても静かだ。


まだ薄暗く、街灯が灯った道を歩いていくと

幽霊がいるのか、なんだかうめき声のような

話し声のような、不思議な音がどこからともなく聞こえてきた。


とても気味が悪い。


その音は耳なし芳一の霊ではないかと思うほどに

一定のリズムを刻みながら、それでいてゆっくりと

何かを訴えかけるように流れていた。


音源がどこなのかが気になる。


辺りを見回しても、幽霊らしきものは見当たらない。


不思議でならない。


だが音は一向に鳴り止まず、徐々に大きくなっているような気がした。



もしかしたら、この音は自分にしか聞こえていないのでは?


と、突然目覚めた霊感の存在を意識する。


音がさらに大きくなり、迫ってくる。


このままでは私は霊界にひきづりこまれてしまう!と

身の危険を感じた。


と、その時、

私は背後に人の気配を感じた。


恐いという気持ちを抑えながら、そっと振り返ると

そこにはヘッドホンをつけて、演歌を口ずさんでいる

老人が歩いていた。


その老人は気持ちよさそうに歌いながら、私を追い越して行った。

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