第2話 事務所

事務所に入ると、カビ臭さがあたりに漂っていた。誰かいるのだろうか。

少し待っているとくたびれたスーツを着た中年男が来るなりこう言った。

「あんた、仕事する気あんの?」

「は、はぁ……。」

つま先から頭のてっぺんまでじっと見つめられる。

「じゃ、こっち来て。」


通されて安っぽいパイプ椅子に座らせられると、運転免許証のコピーを取られ書類に印鑑を押させられた。若干不安になりつつも、違法な契約であれば無効だと自分に言い聞かせてやり過ごす。

「じゃあもう仕事できるから。ちょうどいいから今からやってく?」

「え?あ、はぁ……。」


中年男についていくと、そこには自動車があった。

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