暇部っ!
山田太朗
プロローグっ!
「イロは優しいね。」
ありがとう。
「イロは面白いね。」
皆を笑わせることが好きだから。
「イロって何か面倒臭いよね。」
そんなことくらい知ってる。
「ああ確かに、自由すぎるところとかね。元気すぎて面倒臭い。みたいなね。」
陰口でも聴こえてる。
「イロって家族全員を殺しちゃったらしいよ。」
そのデタラメの陰口は学年全体に広まり、みんながうちのことを避けるようになった。
こんな陰口が流れたら誰だって避ける。そんなことくらい知ってる。知ってるはずなのに…。
……ツラい。怖い。
誰か…助けて…。
何処か分からない。誰かも知らない。それなのに、
「大丈夫?」
助けてくれてくれる。ありがとう。
でも、自分で何とかするから。
「絶対に無理するなよ。」
無理はしない。
「嫌なことがあるならやり返しちゃえばいいんだよ。あでも、被害者ヅラは出来ないからね。嫌なら誰かに言うことだね。」
「うん、わかった。ありがとう。また会えるといいね。誰かも分からない人」
ありがとう。誰かも分からない人。
前を見たら見覚えのある場所。嫌いな人達。
被害者ヅラしても仕方がない。
何なら、うちが容疑者になってもいい。
「私はあなた方の事が大っ嫌いです。もし、あなた方がうちの事が嫌うのなら私はもっと嫌いです。私はあなた方が消えてほしい。」
私は、居なくなれ。その気持ちで私をいじめた人にできる限りの嫌がらせをした。
虫が嫌いな人には外にあった虫の死体をイスに沢山おいた。
誰かが置き勉していたら、教科書には付箋で『○○さんが置き勉してました。』と書いて教科書をもとあった場所ではなく先生の机に置いた。
リーダー格ぽっい人には「近くの廃墟で遊んでた。○○さんが止めなよと言ってもどうせ壊されるんだからいいだろ。と言って突き飛ばしてました。」と先生に言った。
そのあとうちは、この嘘がバレた。
それでうちは担任や他の先生から怒られた。
でも、嫌いな人も悪口を言ったから被害者なのに怒られた。
ありがとう。誰かも分からない人。あなたのお陰でなんだか吹っ切れました。
一声懸けるだけでこんなにも変わるのか。
うちも誰かを助けたい。
性格が自由すぎたり、元気すぎたりしても、性格が変わらなくても、誰かを助けたい。
「彩羽、これからは絶対に誰かに嫌がらせをするなよ。イラついてたなら、ストレス発散みたいにぬいぐるみでも殴っとけ。」
「分かっよ。理人。でも、ぬいぐるみ持ってない。」
「そっか、よし枕を殴ろう。」
って、俺だって人に嫌がらせするなってるのにな。
いやでも、嫌がらせじゃないから大丈夫かな?
でも、説得力ねーな。彩羽にはバレないようにしよう。
これを知ったら、彩羽はまたいじめられた人に嫌がらせしそうだな。
彩羽の家族は俺だけなんだ。
「お兄ちゃん、お兄ちゃんこれ教えて!」
わたしには10も離れた兄がいる。
とても優しくて、とてもズル賢い。
「良いぞ。どこが分からないんだ?」
一緒に遊んで、私がかくれんぼとかで私や他の人が鬼になると私の兄を見つけることは絶対に出来ない。
「知ってる?平井さん家お兄さんが家出したらしいですよ。」
「あら、妹さんともあんなに仲良かったのにねぇ。」
「でも、高校でいじめられたらしいわよ。」
「ヤダー。もぉ、本当に怖いわぁ。」
「お、お兄ちゃんが家出?!」
そ、そんな嘘だ。
そうだ、きっとかくれんぼだ。
それに昨日、「明日はかくれんぼしような。」って言ってたし。多分それだ。絶対そうだ。
よし、今度こそ見つけてみせる。
「乃ー愛ちゃーん」
アホらしく俺の名前を呼ぶ。
皆が俺を見て笑う。
…嫌いだ。こんな奴ら。
「乃ー愛ちゃ…何だよ。」
俺はともかくイラついていた。
それで主犯ぽっい人の前に立った。
それで殴った。どうやらあの一撃で、気絶したらしい。
俺は何か嬉しくなり、その他の人も殴っていたた。何かに取り憑かれたように…。
叫び声も聞こえるし、殴り返そうとした人もいた。
そしたら、後ろから誰かに殴られたか、蹴られた。
俺は殴り返そうとしたら、そのまま気絶した。
「吉…君が……から……騒ぎが終わ………。」
吉……誰だそいつ。
あんまり、聞こえない。寝起きだからか。
「では、さようなら」
ああそうか、あの吉なんたらが俺を気絶させた奴なんだ。
そいつは嫌いだ。でも、俺を止めてくれてありがとう。
「王子君こっち向いて~~。」
ああ、呆れた。
何だよ顔がちょっといいから「王子、王子」って、俺の名前は、王子じゃないし、フルネームでも「お」も「う」も「じ」も一文字もカスってない。
多分、王子っていってる奴の大半は俺のフルネームを知らない。
それにストーカーもいるし、ましてやそのストーカーは顔すら知らない。
もし、俺のことちゃんと知ってるならストーカーもしないし、ちゃんと俺の名前を言う人がいい。
でも、親ですら王子って言うんだししょうがないか。
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