【一度出版した本をWEBで無料公開する方法】

笹木さくま(夏希のたね)

【一度出版した本をWEBで無料公開する方法】

【出版権について】

 本を出版する時、出版社と『出版権』の契約を結びます。

 出版権とは簡単にいうと「この本はウチが独占的に販売するから、いいね?」という約束です。

 このため、本を書いた本人(著作権の所有者)であろうと、勝手に本の内容を公開したり、売ってはいけなくなります。

 なので、出版した本をWEB公開する場合、『出版権の契約を解約する』ことが不可欠となります。



【出版権の期限】

 出版権の契約期間は会社によって違いますが、だいたい『出版から3年』です。

3年たった後は、何もなければ自動更新されるようになっていると思います。

 出版権の解約を行う場合は、最初の契約期間である3年がたってからにするとよいでしょう。

 シリーズ物の場合は最終巻から数えて3年が契約期間となりますので、ご注意ください。


 例:2010年に1巻発売、2015年に最終巻が発売だと、契約満了は2018年。



【出版権の解約】

 それでは実際に出版権を解約する方法ですが、実はとても簡単です。


①出版社に「出版権の解約をしたい」と連絡する。

②出版権の契約終了に関する書類を送って貰い、署名捺印の上で返送。


 これだけです。そして契約終了の日を迎えれば、晴れて出版権は作者本人の元に返ってきます。

 あとはWEBで無料公開するなり、Amazon Kindleのダイレクト・パブリッシングで自費出版するなり自由です。


 電子書籍版の出版とかをしていると、もう少し面倒(主に書類や売上の管理をする出版社の方が)だと思いますが、実本だけの出版に限れば、これだけで手続きは完了します。


 もちろん、何度も重版している人気作だと、「会社の売上が減るので勘弁してください」と引き留められて、出版権の解約は難しいと思います。

 それだけ売れている=印税で儲かっている本の解約をする状況って、そうそうないとは思いますが……。


 当然の話ですが、表紙や挿絵などイラストの著作権はイラストレーターさん本人の物ですし、出版権は出版社が持っています。

 なので、出版権(文章)の解約を行ったからといって、本のイラストを勝手に使う事はできません。

 自費出版しようと思うなら、自分でイラストレーターさんや出版社と交渉して出版権を買うなり、別の人に新しく描いて貰うなり、いっそ自分で描くなりしましょう。



 で、実際に出版権を解約してWEB公開したのが下記の作品です(以下宣伝)


『クリムゾン・オーガ』

https://kakuyomu.jp/works/1177354054882178058


 2010年に幻狼ファンタジアノベルス様より出版させて頂いた作品なのですが、再版や電子書籍化の芽もないので、こうして無料公開させて頂きました。

 実は私が初めて書いた小説(を何度も改稿して受賞した作品)なので、とても思い入れが深く、今見ると稚拙な部分が多くて恥ずかしいのですが、より多くの方に読んで欲しいと思い、こうして公開に踏み切らせて頂きました。

(あと、ボツになった続編案の供養でもあったり……)

 お暇がありましたら、こちらもお読み頂けると幸いです。

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