ご当地ヒーロー”ハチカヅキン”とは、商店街のスポンサーからの提供を受けたパワーアップアイテムで戦う正義の味方である。
第6話『台所用品がなんでも揃う! 包丁からキッチンシンクまで! ヒーローショーを見たと言っていただいたお客様には鍋つかみをプレゼント! バリュースキッチン香田』
第6話『台所用品がなんでも揃う! 包丁からキッチンシンクまで! ヒーローショーを見たと言っていただいたお客様には鍋つかみをプレゼント! バリュースキッチン香田』
食器金物『バリュースキッチン香田』からアルミ製鍋(大)をご提供いただいた。
詳細については、ご当地ヒーロー”ハチカヅキン”の成り立ちから追って説明せねばならないだろう。
ご当地ヒーロー”ハチカヅキン”の起源は、世間という大海原に、突如巻き起こったビッグウエーブである『ご当地キャラ・ヒーロー時代』の到来に端を発している。
ヒーローとは、毎年TVでその勇姿をご覧になることが出来る不滅の戦隊や、選ばれし戦士たちの総称のことである。
そしてヒーローショーとは、ヒーローを身近に感じて一緒に盛り上がることのできる催しであり、全国各地あらゆる地域で行われて大成功を収めている。
かつては、子連れの主婦と父だけが集う限られた世界だったヒーローショー、だが近年ではイケメン俳優の起用や、子供だましではない本格的なストーリー、そして更に『大人向けのヒーローシリーズ』の立ち上げや、昭和時代のようなTVだけには留まらぬ様々なメディア媒体の増加により、新しい客層に向けたヒーローの素晴らしさのアピールが、洗練された型式で様々な層に向けて発信することが出来たこともあって、『大人から子供まで』楽しめるものとなった、それがヒーローショーである!
しかしそんなヒーローたちにも闇はあった。
毎年毎年入れ替わる運命にある”ヒーロー”、”時代遅れになった”彼らの凋落する姿は、心を込めて応援していた人々にとっては耐え難いものであった。
光が強ければこそ、闇はより深くなるのだ。
そんなある日、悩める人々に一筋の啓示が降った。
我思う故に我あり。
我が思う故に我がヒーローはあり。
即ち
『自分たちの手で自分たちのヒーローを作り上げれば無くならないじゃないか!』
というものであった。
”応援する人がいる限り姿を消すことはなく”
”いつでも自分達のそばに居て”
”時代が変わっても変わることがないヒーロー”
まさにヒーローファンが求める理想のヒーローの姿であった。
こうして最初はヒーローを求める純粋な心から、やがては地域振興や村おこしもかねた種々様々なヒーローが世に送り出されるようになる。
その波は伝播し、ご当地ヒーロー”ハチカヅキン”も、地域振興とご当地キャラ不在(正しくは不在ではないのだが無名すぎたのだ)の間隙を縫って、駅前商店街のご当地ヒーローとして生まれいづる運びと相成ったのだ!
とまあそこで、誕生するに至っては一つの雛形というものが必要であった。
地域と何ら関連性のないヒーローはそもそもご当地ヒーローではなく、地域住民のご理解と暖かな応援を得ることは出来ず、ただ消え去るのみである。
ゆえに、地域に密着したヒーローには雛形が必要であり、「地域住民の大半が知らないほどマイナーなくせに日本昔話にはしっかり出てきて日本の民話100選にはなんとか載る」この微妙な民話『鉢かづき姫』をモチーフとして、ご当地ヒーロー”ハチカヅキン”は誕生した!
『鉢かづき姫』については詳しく説明はしないが、『鉢を被っている』この部分は大いにピックアップされることとなった。
鉢というからにはドンブリ鉢を使ったり、土鍋をかぶろうという案もあったのだが素材重量面から却下。
そこで商店街を練り歩き、軽くて整形しやすくヘルメットに使えそうな一品ということで選ばれたのが、食器金物『バリュースキッチン香田』のアルミ製鍋(大)であり、「ご当地ヒーロー誕生のためヘルメットとして使わせて頂きたい」とお話をしたところ快諾、「それなら無償でいいよいいよ」との有り難いお言葉を受け、ヒーロー”ハチカヅキン”のヘルメットが作成されたのである!
ビバ! 『バリュースキッチン香田』!!
本日はご当地ヒーロー”ハチカヅキン”活動開始より3週年という日取りであり、特別に『バリュースキッチン香田』より全く同じタイプのアルミ製鍋(大)をご提供いただくことができた。
ヒーロー”ハチカヅキン”のヘルメットは、鉢型に末広がりのツバが付き、色は灰色がかったつや消しシルバー、頭頂部には器としての自覚から冠っぽく意匠された金の高台(お椀の足の部分)が輝きを放っている。
この素晴らしいヘルメットを被ったヒーロー”ハチカヅキン”は、スポンサーである『台所用品がなんでも揃う! 包丁からキッチンシンクまで! ヒーローショーを見たと言っていただいたお客様には鍋つかみをプレゼント! バリュースキッチン香田』の大判ステッカー二枚をヘルメットの左右に貼りつけ、人質の花男くん(フレンチブルドッグ 8才 ♂)の身代金を要求する怪人”犬王モノー”(イヌオウモノー)の目の前にゆっくりと忍び寄ると、アルミ製鍋(大)を同じく『バリュースキッチン香田』からのレンタル品であるガスコンロの上にセット、昆布だしと醤油、鰹節をつかって調理を開始。
火を使用するため花男くん(フレンチブルドッグ 8才 ♂)のリードをしっかりと柱に繋いだ怪人”犬王モノー”もちゃぶ台の向かい側についた。
待つこと暫し……。
ヒーロー”ハチカヅキン”は寒い季節にピッタリのアツアツ湯豆腐をお玉で掬い出すと、崩れぬように細心の注意を払いながら、向かい側で正座をして出来上がりを待っていた怪人”犬王モノー”の口に有無を言わさず放り込んだ!
アツアツノユドウフゥウウウウウッ!
まるで生命体の口にアツアツの湯豆腐が放り込まれ大変なことになってしまったような音がスピーカーからステレオ音質で再生される!
「ギャアアアアアアア! ハフッハフッ 水、水プリーズ!! …… ハァハァ フゥー。スーハー。ええい! 『バリュースキッチン香田』の素敵なアルミ製鍋(大)で、昆布だしと醤油、鰹節をつかって丹念に調理されたアツアツの湯豆腐を眼前で提供されては戦いにならんわ! 大容量のお鍋だとダシの染みも良くなり保温性も高まる。更に急な来客があった時の対応にも優れ、カレーの大量調理にも効果を発揮すること請け合い。『バリュースキッチン香田』では余った料理を冷凍庫で保存するためのタッパー及び冷凍保存袋も販売しており、たくさん作ったカレーをいつでも食べたいときに食べられる、そんな魅惑の食生活を応援してくれまるのだ。ええい! こうしてはおれん! 早く家に帰って『バリュースキッチン香田』のアルミ製鍋(大)でカレーを作って大量保存に勤しむのだ! 退却! 退却ぅっ!!」
言い終わるやいなや怪人”犬王モノー”は、ちゃぶ台の向かい側に座るヒーロー”ハチカヅキン”に湯豆腐のおかわりを要求すると、熱さに悶えてハフハフしながら繋いでいた花男くん(フレンチブルドッグ 8才 ♂)のリードをスタッフに預けると---花男は湯豆腐を食べたがってそちらへ行こうとしている---脱兎の勢いで逃走していった。
戦いは終わったのだ。
「『台所用品がなんでも揃う! 包丁からキッチンシンクまで! ヒーローショーを見たと言っていただいたお客様には鍋つかみをプレゼント! バリュースキッチン香田』のアルミ製鍋(大)があれば、寒さ深まる冬の夜も、沢山のご家族・ご友人との楽しい食事で乗り越えられるぞ! 鍋が熱くて持ち上げられない? そんなときは『バリュースキッチン香田』で「ヒーローショーを見ました!」と言ってみよう! 可愛い鍋つかみのプレゼントがあるぞ! 先着50名様まで! もし貰えなくても泣いちゃいけないよ、温かいお鍋で心を癒そう! ヒーロー”ハチカヅキン”とのお約束だ!!」
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