だいたい一分くらいで読める掌編集
舞台譲
体重計
体重計に乗りながら、青木礼奈は顔をひきつらせた。あまりのショックにその場にしゃがみ込み、思わず頭を抱えてしまう。
「うわぁ、マジかぁ」
風呂上がり、一糸纏わずに体重計に乗ったら、えらい数字が出てしまった。
前に体重を計ったときよりも、三キロも体重が増量してしまったのだ。以前体重を計ったのは一ヶ月前。つまり三十日ほどで三千グラムも自分は重くなったことになる。
グラムにすると、より数値が大きく感じ、さらに絶望感が重くのしかかる。
なんという怠慢。なんという怠惰か。
ここ数ヶ月、パーフェクトに維持していたボディがこんな簡単に崩されてしまうとは。
原因はわかっている。
秋の味覚に冷え込む季節、だがなによりの敗因は、甘いものだろう。
寒くなると、体を暖めるためつい間食をしがちになってしまう。その間食のために、コンビニや和菓子屋で甘いものを買ってきたのだ。
自分ではなく、姉が。
姉が菓子を食べる姿に魅了され、ついつい自分も甘いものに手を出してしまった。
くそぅ、と思わず拳を握る。
姉は太っていないから油断してしまった。自分とアレでは前提条件が違うことを忘れていた。彼女は運動部に所属しているから、一日の消費カロリーが多い。だから太らないのだ。
悔しい。このままでは姉の罠に自分がみすみす嵌ってしまったことになる。
その事実は、どうしても覆したい。
こうなったら、苦手だが、自分も運動をせねばならないだろう。
そう心に誓いながら、着替えたあと、リビングで菓子を食べる礼奈なのだった。
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