ドーンセンセについて

男が何者かに追われるように走っていた

彼は、強盗だったのだが、仲間と一緒に、コンビニを襲おうとして、奇妙な事に遭遇したのだ

ふっと、気がつくと、彼は一人になっていた

気配を感じて、後ろを振り向くと、深紅のマントをはおった男が立っていた

服が、いわゆるニッカポッカ(ようするに、大工さんの作業着)なので、違和感しかない

『な、なんだ、てめえ!』

と、ナイフを向けると

『そういう危ない物を、人に向けるのはかんしんしないねえ』

と、なにやら呟くと、ナイフがかき消えてしまった

男は慌てて、逃げるために駈け出した




そして、今に至る

と、周囲が唐突に歪み始める

気がつくと、彼は、ルームランナーのように、同じ所を走っていた

疲れきって、彼が立ち止まると、マントの男が、目の前にいて

『はい、お疲れ様』

と言った




強盗していた男を、警察に引き渡すと

(男は仲間が皆捕まっていたのに、驚いていた)

彼は、古い携帯電話で、誰かと話していた

『はいはい、ようやく終わったよ

今回は人数がいたから、手間がかかったな

え、またあいつが問題を、持ち込んできたのか?

ち、ちょっと待ってろ』

と言うと、事件を担当する警官に

『すまんね、少し用事が出来た』

と、マントが彼を包んで、小さくなって、そのままかき消えてしまった

担当の警官は、こう嘆いた

『ああ、ドーン先生は、あの娘の言う事は絶対なんだなあ

こっちは、気まぐれにしか助けてもらえないのに』


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