塔の魔導師

作者 瀬戸夏樹

80

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★★★ Excellent!!!

 キャラクター性志向で、痛快な主人公最強ファンタジーに人気が集まる昨今の風潮の中、この小説は物語としてのファンタジー性を大切にしているように感じました。

 「真面目系クズ」と評されるリンが塔でどのように生きているのか。その過程が丁寧に描かれています。
 いきなり伝説級の指導者から力を見出されたり、他の誰かにない魔法がつかえたり。そんな都合よく簡単な展開が用意されてはいません。今のところは少しだけ才能があって、少しだけ人に恵まれた、塔においてはありふれたレベルの少年です。
 リンにただ一つ他よりも大きく優れた点があるとしたら素直さと真面目さくらいでしょうか。
 それでいて、時々スパイスのように彼の可能性を感じさせてくれる場面が現れます。
 〈ヴェスぺの剣〉をいとも容易く出現させてしまったり、沢山の人から様々な意味で注目を受けたり。特にスピルナの上級貴族ナウゼとの魔導競技に挑んだシーンでは、リンには何かある……そんな可能性を覚えました。ただ物語の雰囲気だけに良さを追求するのではなく、忘れそうになった頃、平凡な少年に何かの片鱗を見させてもらえるのです。


 理不尽な税や階級闘争、出身地域による考え方の違い。そういった点にも着目し、細やかにリンのいる場所と関連させながら、物語の流れとして自然に書いておられるところで、作者さんの力を感じます。ファンタジーとしてありつつも、人間的な部分の描写に他と比類なき魅力があるのです。

 リンやアトレアたちの辿る道筋がこれからどうなるのか、続きを楽しみにしています。

★★ Very Good!!

日本ではラノベやなろう系が人気ですが、私は海外輸入のファンタジーやSFも好きです。
こちらの作品はどちらかというと真面目でかたく、海外輸入の洋風ファンタジーを思わせる内容となっています。
単純な俺TUEEでは無い主人公。悩みながら、仲間や友達と一緒に少しずつ階段を上っていく。
その過程を楽しみに読ませて頂きます。