一時期、『塔』のつく小説をカクヨムで読みあさっていたことがありました。
そのなかでも、社会描写にもっとも深みがあったのがこちらです。
丁寧に構成された舞台設定は、読手を異世界に誘い、そして、その立地点だからこそできるかたちで、社会のなかでの人間模様をありありと見せてくれます。
すこし、夢をみているような気持ちになります。
荒唐無稽ではなく、現実を整理するための、たしかな理屈が潜在する夢です。
そのことが、描写に強い力を与え、そしてーーやや読みにくい、情報量が多すぎる印象にもなっているかもしれません。
それでも続きを読ませるのは、『孤独』であり、『孤独』な人のための文章を研ぎ澄ますような、職業小説家には決してかきえない世界観があるからです。
ゆっくりでも、続きを楽しみにしています。