カラフル・ストライク

薔薇宮あおい

第1章

プロローグ

 夕方の河川敷。

 ここは一番のお気に入りの場所。俺は今、一宮いちみやさんと歩いていた。

 こんなことになるとは······思いもしなかった。


「悔しいけど、鹿代かしろーーううん、航流わたるのラジオは面白かった」


 いきなり苗字呼びから名前呼びになったことに驚きながらもツッコミを入れると。


「これは君を認めた証。だから······」


 笑わないで、と一宮さんが前置きし、


かえで。今日から君は私のことをそう呼ぶこと。······それで私は君を航流って呼ぶ。文句ある? ······ないから決まりね!」


 笑みを浮かべながら命令のような言葉を口にし、楓は俯いた。

 俯く瞬間、楓の顔が赤かったような気がしたが夕日にせいだろう、と解釈する。

 ふぅ、と呼吸を整え顔を上げる楓。すると、


「航流。私ね、君と会えてとても、とても良かったと思ってる」


 恥ずかしい言葉をスラスラ言う楓だが、顔が赤くなっていくのが丸見え。

 俺も笑みを浮かべながら、


 ーー俺も楓と会えて良かったよ。


 と、楓の言葉と続くように返す。


「よく言えるね、そんな恥ずかしい言葉」


 ーーお前もな。


 二人から笑みは消えない。


 ーーあのさ、お願いがあるんだ。


「そ、そうなの? ······私もなんだけど······」


 二人は笑う。似た者同士、と思いながら······。


 ーー俺と!


「私と!」


 同じタイミングなことにまた笑う。同じかな、と二人で口にして同時に告げる。


 ーー友達になってください!


「友達になってください!」


 やっぱり、と二人で笑いながら口にして同時に。

 よろしく、と告げる。


 そして、二人は明日に向かって······。

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