4. 今日は餃子でも作ろうか。
「雲雀ちゃん、ママに顔立ち似てきたよねえ」
まもっちゃんと三人で駅まで向かう。ママに似てるって言われても、別に嬉しくないよ。でもママはなんだか嬉しそうに「ふふっ」と笑った。
「そうなんだよ。小さい頃は私よりパパに似てたんだけどね。私も最近、雲雀私に似てきたなって思ってて」
「下の二人はなんて名前だったっけ?」
「則宏と織浩」
「あ、そっか。パパとママの名前からとってたんだったねえ。雲雀ちゃんには漢字何もあげなかったのに。どうして?」
そう! まもっちゃん、もっとママに言ってやってよ。
「うん……。ねえ、それよりさ、ありさちゃんはどうしてるの?」
あ、話を逸らしたな。ありさちゃんっていうのは、まもっちゃんのパートナーの名前。やっぱりパパとママの学生時代からの友達。私より年上の
「ありさは元気にしてるよ。……ねえ雲雀ちゃん」
「ん?」
「うちの翔もついこの間まで、ありさとしょっちゅう喧嘩してたんだよ。二人ともちょっと気性が激しいから、もう、すごい勢いだったよ。お互い突き飛ばし合ったりしてねえ。最近は落ち着いてきたけど」
翔は高校生。剣道をやっていてガタイもいいし、背も高い。その翔がありさちゃんを突き飛ばして……
「ありさちゃん大丈夫だったの?」
私が苦笑いで聞くと、まもっちゃんはまさかの「ううん」
「一度手の甲の骨折っちゃったことあったよ」
思わず「えっ!」と大きな声を出してしまう私。自分のお母さんにそんなことしちゃったら、私だったら……。
「翔には秘密にしてるけどね。ありさが『翔の心の傷になるかもしれないから言わないで』って言うから。だから、雲雀ちゃんも秘密にしててくれる?」
「……うん」
*
まもっちゃんと別れて、電車に乗る。最寄り駅に着くと、ママは私をスーパーに連れて行った。ここは深夜遅くまでやっていて、いつも助かってる。
「雲雀、何食べたい? 晩御飯食べてないでしょ」
確かにお腹はペコペコ。だって、もう十一時だし。この時間じゃ、出来合いのお惣菜か、お弁当だな。
「……何でもいい」
「そう。じゃあ今日は餃子でも作ろうか」
「え、今から?」
「餃子好きでしょ?」
「うん……まあ好きだけど……」
キャベツにニラ、豚ひき肉と餃子の皮を買って、家に帰った。玄関を開けても誰も出てこないところを見ると、則宏と織浩はパパがもう寝かせてて、パパもつられて一緒に眠っちゃったんだなきっと。
ママと二人か……。
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