モノクロの空
MeRRY
第1話 夜明け
〜遠い遠い未来のおはなし〜
吹雪の激しい夜のことです。
色の無い世界の、色の無い国に、ひとりのお姫様が産まれました。
栗色の瞳に淡いピンクの唇、風が吹けば金色に輝く髪……それから、それぞれ赤・紫・水色・緑・黄色の爪をしておりました。見れば見るほど美しい女の子でした。
お姫様だけが唯一色を持つ人間だったので、それを知った人々はたいそう羨ましがりました。
月日が流れ、お姫様は婆やと護衛たちに連れられて、お城の外を散歩していました。木々は枯れ落ち、地面は干からび、街はすっかり荒れ果てた様子でした。ほかの街も同じような感じで、みな死んだ魚のような目をしており、生きる気力を失っていました。
ある時、思いきってお姫様は婆やに尋ねました。
「どうして国の人々はこんなにも苦しそうなの?」
「それはね、色を失ってしまったからだよ」
色なら沢山持ってるわ!と、お姫様は婆やに自慢の爪を見せつけました。そして、こう言いました。
「ねぇ、なんでみんなや婆やには色がないの?」
婆やはしばらくの間遠くの山の方を見つめ黙っていましたが、やがて口を開き、優しく答えました。
「大図書館を知ってるかい? あそこへ行けばお前の知りたいことがわかるじゃろうね」
「婆や、わたし大図書館へ行きたい!」
「お待ちなさい。ならばあそこにいる門番に護衛になってもらうことにしよう。くれぐれも気をつけるのじゃよ」
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