セーンの民族指導者

皐月プラヤー

拝啓

 拝啓、あの日の──少年だった頃の私に告げる。

 君は民族にちなんだ闘争を馬鹿馬鹿しいものと感じていただろう。

 君は先人たちの戦死を不必要な犠牲と感じていただろう。

 その若さゆえに、それも仕方ないであろう。だが、そんな君に私は告げる。

 我々は「最強」の民族であり、それを誇らずにどうするのか、と。

 力や知恵で得た「最強」ではなく、我々が重ねてきた勇敢こそで成り上がった「最強」であるということ、それが如何にして偉大なものであるか、君はこれから知るだろう。

 ただ、この手紙がどうして君に渡るのか──その「時間」にいる君にはまだ想像できないであろう。


 ──君の「未来」は過去にあり、また未来にある。不気味な話だ。

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