※※※
「…マジなの、それ?」
「マジマジ。一年の男子が二人とさ、あとB組の須藤は確実じゃないかってさ。事務の桂木さんと花田先生が職員室でこっそり話してんのユッコが聞いたんだって。間違いないよ」
「自殺の次は退学処分かぁ。ありえないし、あのクラス。マジ終わってるよね~」
「だよねぇ。…あっ。ねぇレイナあれミキじゃない?」
「ホントだ。…お~い! こっちこっちぃ!
…もぉ、ミキ遅~い!」
「ごめ~ん、レイナ! ガッコでちょいトラブっちゃって~!
ブッチする訳にもいかなくてさ。
…ねぇマナ、アタシのぶん、ちゃんと注文しといてくれた?」
「はいよ、キャラメルマキアートにスモークカツサンドとポテトのセット。ついでにストロベリージェラートでしょ。
カロリー高そうなのばっか頼むんだから。アンタさ、昼休みもお菓子食べてたじゃん。
…また太るよぉ」
「いいじゃん、別に! 育ち盛りなんだからさ。仲良く一緒にブタろうよ~」
「…ってか何? また学校でなんかあった訳?」
「そう、それよそれ!…ねぇ聞いてよ!
ついさっき学校でさ、一年のコが二階の階段の踊り場から一階まで滑り落ちて足痛めちゃってね。…ほら、西側のあの廊下の辺り。
アタシその時、たまたま近くにいたんだ。
もう、びっくりよ!時計塔の鐘が鳴ったと思ったらさ、いきなりキャッ! て悲鳴が聞こえたのね。そしたらズダダダダって物凄い音が聞こえてきてさ~。
あんまり凄いんで慌てて見にいってみたらさ、そのコが足押さえて痛そうに泣いてんのよ!膝を擦りむいたみたいで、けっこう血ィ出ちゃっててさ、保険室の間宮先生のトコに連れてったり手当てしたりして、そりゃ大変だったんだから~」
「それで遅れたんだ。ってか、そのコもドジよね~。どうせ好きな男のコトでも考えてボーッとしてたんじゃないの~?」
「それがさ、詳しく聞いてみたらそうじゃないみたいなんだよね。何でもそのコ、ちょうど山内先生と一緒にいたらしいんだけど…」
「…山内? 現国の?」
「うん。先生と学祭の打ち合わせか何かしてたんだって。…でね、先生の後ろの方にさ…。西日が差し込んだ廊下の真ん中にさ…。ぼんやり立ってたっていうのよ…」
「…何が?」
「長い髪をした血だらけの女生徒が…」
「うそ…」
「やだ…マジで?」
「そのコもびっくりして、それで階段から足を滑らしちゃったらしいの…」
「ねぇ、それってさ…どうせ誰かと見間違えたんじゃないの?」
「アタシもそう言ったよ。
その時さ、すっごく廊下の西日が眩しくて目が眩みそうなぐらいだったしさ。
『どうせ誰か別な人と見間違えたんだよ、ケガも擦り傷程度で済んだんだし、気にしちゃダメだよ』ってさ…。そしたら、そのコったらますます大泣きしてさ…。
『確かに見たの! 絶対見たの! 怖いよ先輩、怖いよ…怖いよ!』
ってもうそればっかで…。泣くし痛がるし怖がるし、離してくんなくてさ…。もう勘弁してよって感じ…」
「それって学校の怪談話のアレ? 後ろに立つ少女…」
「バカ言わないでよ。
あんなの作り話に決まってんじゃん。ゲームやホラー映画じゃあるまいし…」
「そうだよ。七不思議なんて、たいてい誰かを怖がらせる為のモノだし」
「でもウチの学校って前からちょくちょく変な噂ばっかり聞くじゃん? 学校の時計塔とか噴水の辺りで変なモノ見たとかさ…。
この間死んだコだってさ、十三階段の呪いで狂ったとか呪い殺されたなんて噂も流れてんだよ」
「ちょっとぉ…。やめてよ、ご飯食べてる時に…」
「…っていうか、アレはそもそも自殺でしょ?」
「ところがさ、そうでもないみたいよ」
「どういうコト?」
「最近さ、黒いスーツ着たホストみたいな人が校内をうろついてるって聞いたコトない?」
「あ、それアタシ見た!背が高くて24、5才くらいで髪もサラッサラで、女みたいに色白でさ。もうすっごいイケてんの!」
「あ~なんか聞いた事あるなぁ…誰なの?」
「なんかね、理事長だか校長だかに雇われた探偵か何からしいよ」
「へぇ! やっぱりあの事件を調べてんのかな? 死んだ川島由紀子ってさ、ウリやってただのクスリやってただの、変な噂もあるしね…」
「なんかさ、ウチの学校も相当キテるよね」
「いえてる。須藤の事といいさ。
なんか学校にとって邪魔な奴が一人一人消えていってるような感じしない?」
「案外次は殺しでも起こるんじゃないの~」
「あ~やだやだ…」
「ちょっとぉ…八雲校との合コンの打ち合わせするんじゃなかったのぉ?」
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