第2話 暗闇の中

目が覚めたら真っ暗だった。まるで、失明したかのように。

自分の手足がどこにあるのか、それすらも視認できない。触感だけが頼りの空間。

体に触れる。慣れ親しんだ暖かな肌の感覚。あぁ、裸なんだ。



停電だろうか?だとしても妙だ。俺の部屋は地下じゃない。窓から月明かりが漏れるし、電池式のデジタル時計だってある。全くなんの光源すらないのは何故だ?



この状況はおかしい。一切の光源を絶った部屋に全裸で放置されている状況。俺はきっと何かしらの事件に巻き込まれたに違いない。だとすれば、簡単だ。“犯人” がやってくるまで待っていればいい。


きっと俺にすぐに危害を加えるつもりはない。何かをしようとするなら、すぐに殺すはずだし、室内の温度を一定に保つようなコストを掛けないだろう。俺から服を取り上げたということは、逃げださないようにするためだ。俺から聞きだしたいことがある。そのために捕え、監禁しているというわけか。なら、俺が機密を話すまでは安全が担保されている。俺は“犯人”を待っていればいい。



しかし、そうは言っても暇だ。人間を壊すには、音や視覚など一切の情報を与えないのが一番だと聞いたことがある。その対処法は、自らが情報の発信源になればいい。壁沿いに、この部屋の構造を探ってみよう。


妙だ…。かれこれ一時間以上は歩いていると思うが、一切の壁に当たらない。俺の歩幅は、一歩で約1メートル。すでに3キロ近く歩いている計算にもかかわらず、一切の壁に当たらない。こんな施設日本には存在しない。

ここは外国なのか? 

しまった。元にいた場所すらも分からない。失敗したか?


立ち止まるべきなんだろうか。

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