第2話帝国の皇女

漆黒の宇宙の中を一隻の宇宙船が航行していた


すべてが破壊され、もう終局が近づいていた

航行中の事故、生きるものは殆どいない


船内には骸、骸、骸


そのどれもが美しく神話の人物を思わせた


ただひとりだけ息をしているものがいた


その人物は登場人物ではなく女神そのものを思わせる容姿だった


その顔が苦痛で歪んでいる


意識も途切れがちだ


「なにが起こったのだ」


答える声はなかった


ひたすら船の非常サイレンが鳴り響いていた


「誰もおらぬのか!」


少女が決死の努力で叫んだ


だが船の中にその声はむなしく消えていった

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