「──生、先生」

「────薊君？」

「お休み中すみません、奥様から起こしてくるようにと頼まれましたので」

「あぁ、そういえば今日だったか」

「お疲れでしたら日を改めさせて頂きますが……」

「いや大丈夫だ。とても懐かしい夢を見たよ」

「若い頃のですか」

「そうそう確か──はてどんな夢だったか」

「すみません折角の夢見を」

「所詮夢の話だ、そう気にしないでおくれ」

「お久しぶりですな先生」

「阿蓮君、それに漆原君も今日はよく来てくれたね」

「お久しぶりです、ご健勝なようで何よりです」

「お世辞はよしてくれ、最近はあちこちがたが来て横になる事が多くなってしまったよ。白羅君は元気かい？」

「それはもう、近頃は大人しくなりましたがじゃじゃ馬なのは変わりありません」

「夫婦中睦まじいのは良いことだ。阿蓮君も変わりないかい？」

「先生、わしとこは荒事担当してますんや。酸いも甘いもぎょうさんありますわ」

「君らしくて良いことだ。さて今日は食べに行く予定だったかな」

「旨い料亭連れてきますんで楽しみにしとって下さい」

「食べるだけじゃなくしっかり報告もお願いしますね」

「ケンタローとこの生徒やったら現地にいたそっちの方が詳しいやろ？」

「どういった経緯であんな子供を送って来たかを聞いてるです！」

「まぁまぁ二人とも、話は向こうに着いてからにしよう」

「君たちは本当に見ていて飽きないよ──そうだ、少し寄り道をしても構わないかい？」

「寄り道ですか、私たちは構いませんがどちらへ？」

「こうして集まるとあの時の肝試しを思い出してね──」

──もう一度あの場合を見てみたいんだ。

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。（ログインが必要です）

新規登録で充実の読書を

マイページ: 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる; 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める; フォローしたユーザーの活動を追える
通知: 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴: 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい