異世界転生ストーリー…実は…
――転生して異世界に行くのは夢物語か。
実際のところ、
異世界に行くこと自体は夢物語ではない。
ただし、
『現在社会の知見を活かし、
異世界で社会的地位を確立すること』
というのは、
ほとんどの場合、
奇跡中の奇跡である。
起きても数パーセントがいいところである。
異世界でゼロからスタートして、
大成功して若い美少女達(令嬢とメイド達)に囲われて順風満帆な生活を送る。
なんて超順調なことはなくて、
実際には血のにじむ努力をして、
運よく奇跡の中の奇跡が生じ、
ようやく手にした地位なのである。
書物にはあたかも誰でも手にすることができる
夢物語のように書いてある。
しかし、書物はあくまで読者が心地よく思えるような
甘い言葉をかけてあるだけで実際の日々は地獄だ。
なぜか。
まず、異世界に来たときに
病原菌で大半は死ぬからだ。
我々の現在社会にも数多の病原菌が潜んでいるが、
我々には病原菌に対する、免疫を備えており、
対抗できる力を持っている。
しかしながら、異世界では通用しない。
なぜなら、異世界には未知なる病原菌が大量に潜んでいるからだ。
そんな大量の猛毒の菌類が撒いてある地帯に足を踏み入れた瞬間、
カニのように泡を吹いて即死だろう。
もちろん、異世界に行くためには転生するしかないので、
まず、現在社会でワクチンを注射しても意味をなさない。
せいぜい、青い髪をした阿呆な子っぽい女神に
ワクチン注射してもらうしかない。
異世界に行くから何かくれるって?
それじゃあ、まずワクチンくださいっていうのが王道になってくるだろう。
もちろん、医術的な意味で注射である。
薄い本的な意味ではない。
夢も希望もへったくれのない話だが、
まずそこからだ。
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