AIにヒロインの絵を書かせて遊んでいたら投稿が遅れました
昼間から9ブロックと6ブロックがわちゃわちゃしている時に、ガンマがやってきた。どうやら面倒事っぽい。会議室は少し緊張に包まれ始めた。
「まさかこんなに早く再会するとは思いませんでしたよ」
「本当にな。6ブロックピンチなのか?」
「ピンチってほどじゃないですが、意味がわからないというか……なんか突撃してくる不思議な連中スね。飲まず食わずで休みも取らずに無限に攻めてくるんスよ。気絶させて捕獲するくらいしか方法がないんス」
「意味わからん敵が多すぎる」
まともな案件が全然来ないんだけど、学園なにやってんの。
「とりあえず7ブロックに援軍を出さなきゃいけない。そっちに人員を回さなきゃならん」
「正式に同盟組んでましたね。そっち優先でいいスよ。うちは挟撃作戦とか、9ブロックの城を攻めてくれると嬉しかったんスけど」
「9ブロックがいらねえ」
「ですよねー」
それでも打ち合わせは続く。基本方針は以下の通り。
・7ブロックに援軍を出す。ただし大規模にはしない。
・9ブロックは調査に留める。
・6ブロックとは何かあったら組む。
・難民もどきが邪魔。連携して対策を取る。
「どう考えてもスパイ天国ッスねえ」
「対策は必要よ。どうするのアジュくん」
「本物そっくりの砦兼保護施設を作っておけ。拠点に見せかけろ」
危険は近づけない。即排除できる仕組みを作る。これが今の最適解だと思う。こいつらに無駄な戦闘をさせない。戦力は有限なのだ。
「普段使っている砦のふりをして、新規の連中をそーっと隔離する。それ以上は言えない。あとで内部装置なんかの打ち合わせをする」
「よくわかんにゃい。あっくんはどうしたいの?」
「内ゲバの中で内ゲバさせてやる。いいからやれ」
最初から誰も信じちゃいない。勝ちは確定しているのだから、あとは労力とストレスを減らすのだ。
「なーるほど、こっちを悪者にするんじゃなくて、難民から難民の敵を作るんスね」
やはりアサシン。そういう知識と発想があるのね。これは敵にするとめんどい。
「では対策はその方向で動きます。7ブロックはフランさん、タイガさん、アオイさん、ルナさんを中心とした部隊にします」
「私はアジュの護衛をする。一緒に6ブロックに行けばいいの?」
「そういうこと。超少数で先行して、あっちで敵を見たい」
「8ブロックは残り全員で警戒態勢と……各地に必ず超人を入れる。厳重ですね。ここまで警戒しているのは、例の未確認の敵ですか?」
「ああ、あれは超人が倒すべきだ。多分全ブロック共通の敵だし。というか俺と三日月さん以外があれとエンカウントするべきじゃない。逃げて超人を呼ぶことを徹底させろ。無茶はするな。以上解散」
こうして俺・三日月さん・イズミはそーっと6ブロックへ向かった。5ブロックから6ブロックへこっそり侵入するわけだが、そこは少数なのでいくらでも通行できる手段はある。というかガンマにルート教えてもらった。
「あー……ちょっと寒いな」
「8ブロックより温かい。我慢」
6ブロックは秋に近い気候だ。空が青く日差しが暖かい。草木が緑色なのと水源が豊かなのもあって、夏から秋に入る感じのイメージかな。雪国よりはいいだろ。景色の感想なんかも思いつきそうだったが、お目当ての拠点へとついた。
「ここか」
大きな壁で囲われた砦。元の世界で言えば大陸の城だ。王様の家じゃなくて、壁の中に丸ごと街が入っているタイプを城と呼ぶパターン。
「大規模な一斉蜂起の可能性あり。6ブロック本拠点に近い拠点での犯行を阻止、もしくは潜入して内側から門を開場。なるべく被害を出さずに終わらせる」
「まあアサシン向きだわな。アドバイスはイズミに任せる」
「了解」
ちなみにガンマは城へ戻っていった。あいついわく『うちの人達は綺麗なままいて欲しいんで、汚れ役が必要なんスよ』とのこと。そういうの嫌いじゃないから頑張って欲しい。
「はあ……国王ってのは面倒だな。これつけっぱなしか」
俺は帽子と伊達メガネである。そして水色髪のカツラ。変装の技術はないのでイズミと三日月さんにやってもらった。けど首から上がごちゃごちゃするの好きじゃないのだ。国王ってめんどいよね。
「我慢して。アジュは本来ふらふらしてはいけない」
「お前ら見ねえ顔だな」
ふらふらしていると、表通りの小道で声をかけられる。おっさん以上チンピラ未満かな。悪人とは断定できないかんじ。
「他のブロックにいたのだが、稼ぎが悪くてな。こちらに参加したく流れて参った」
こういう交渉は三日月さんにお任せする。すっげえ自然に嘘が出るな。こういうところはやはりフルムーンで長いこと騎士団長やっている人だ。
「そうか、やっぱどこも締め上げてんだな。この先で集会があるんだが来るかい?」
「何をするの?」
「待遇改善について話し合う集会みたいなもんさ。ちゃんと広場でやる。室内じゃねえから怖がんなくていいぜ」
クソ怪しい。鎧のようなパワーがあるか、潜入目的じゃなきゃ断るところだ。つまり行くわけである。
「怪しい。要警戒。私の側を離れないで」
「問題ないさ。表向きは治安もいいんだ。これで露骨に一旗揚げようなんてアホはいないだろ」
そして広場についた。
「よーしお前らー! 一旗揚げるぞー!!」
「ヒャッハー!!」
「うわあろこつにひとはたあげようとしているう」
変な人がいっぱいいるよう。帰りたい。浄化していいのかなこの空間は。
「いいか、労働条件は悪くねえ。金払いも悪くねえ。別に暮らしが厳しいわけじゃねえんだ!」
お立ち台で演説しているやつは学生っぽい。知らないやつだけど、筋肉の付き方からして戦闘系だろう。そこそこ長い金髪にちょいちょいピンク色が混ざっている。髪で隠れていない方の目の色もピンクに近いな。
「ボス、じゃあどうして決起するんですかい?」
「姫さ」
姫ってイノだっけ。イノは女王だったような。じゃもう一人か。確かライブではしゃいでいたやつだと思う。
「姫はな……天使、いや天使を超えた女神だ。オレの心にビビッときた。だからこそ、オレはいちファンとして……姫に認知されたい!!」
クソしょうもねえ。
「で、ですがボス……」
「わかってる! 認知されたい、それは厄介なやつのやる外道行為だ! 迷惑だ!」
その自覚はあるのかよ。なんだこのアホ集団。厄介ファンの集いじゃねえか。
「だからファン感で目立つのはいただけねえ! ファンはみんなファン。暴動が起きれば姫が悲しむ!!」
「おぉ、さすがボス。すげえ心配りだ」
「そういうところだけ半端にモテ要素の片鱗があるぜボス! モテねえのに!」
「口に気をつけな。姫トーク中じゃなきゃキレてるぜ」
すげえ帰りたい。盛り上がり方がうざい。
「いいか! この街で国に反旗を翻す不届き者が出る! そいつらは別ブロックの連中だ。ここを占拠して好き勝手するだろう。これに便乗する!」
つまりその組織と組んで城のトップになり、姫とやらに会いに行くのか。結局やっていることは姫の邪魔だな。少しがっかりだ。
「ここで一斉蜂起するバカ野郎どもを一斉蜂起して潰す! 鎮圧してヒーローになる! ヒーローとして堂々と姫に褒めてもらう!!」
「…………おやあ?」
「サカガミ殿、これはもしや」
「カウンター組織をカウンターしようとしている組織?」
無駄に複雑だよ。知恵があるのかないのかどっちだ。
「襲撃は今晩開始される。ポイントは敵が犯行に及んでから潰す! 事前に潰すのは厳禁よ! 敵が現れて、そいつらを叩き潰すからヒーローなんだぜ!」
「ウオオォォ! ボス! 姫にいいとこ見せるにしてもアレですねボス!!」
「でもやる」
「それでこそボスだ!!」
計画は理解した。こいつらがアホだということも理解した。つまり帰りたい。
「計画通りに人員を配置する。敵が合図を受けて大暴れし始めたら潰せ」
計画がどんどん公開されていく。つまりあっち側に内通者がいるか、ボスの諜報員が凄腕なんだろう。そこは察した。三日月さんに小声で指示を仰ぐ。
「どう思います?」
「敵が犯行を決めているのなら、潰すが道理。存外しっかりした計画ですから、便乗してしまうのがよろしいかと。成功すればここでの信頼も得られましょう」
「同意。すっと入るには好機」
「了解。しばらく厄介になるか」
そして集団は生活に戻りながら夜を待つらしい。最初に俺たちに声をかけてきた男が、ボスと一緒に来た。口止めでもする気だろうか。
「すまねえな。連れてきたら大事な話だったわ」
「まったくバカ野郎が。あーできれば黙っててくれねえかな。ボスの威光を示してえ。手荒なことはしねえよ。悪者ぶっ潰すんだ」
「暴動が起きるんだろ? 死人が出まくるのは不本意だからな、俺たちも協力するよ」
「おっ、マジで? 坊っちゃんはともかく、そっちの男は強そうだ。助かるぜ」
兵隊でも敵組織でもないやつを集めるのは大変なのだろう。開場にいたのだって三十人から四十人くらいだ。全部じゃないとしても都市を全て賄えない。
「よっし、お前ら名前は?」
「ザジ」
「ミツキ」
「イズナ」
「よし、オレはボス。この世で唯一ボスと呼ばれるに相応しい男だ。ここは任せる」
なんなのこの人は。そこから持ち場の説明がされるが、これがわかりやすい。ちゃんと説明できるのな。演説もできていたし、才能の無駄使いだわこいつ。
「目印はこれで、暴れる奴らがこのくらい。砦と南北の門を占拠されたらアウトだ。正規軍が来る前に決着をつけて、敵を逃さない。ただし初犯は見守れ」
「了解」
「ここはお前ら合わせて十人だ。大した場所じゃないしな。敵は殺してもいいが正義の義勇軍だぞ。忘れんなよ」
「任せて」
「おう、まあ頑張れや!」
そして夜になる。同時に遠くで小さく爆発音がして、煙が上がり始める。
「始まったか」
「あれは兵士の砦と門のあたりですな」
「敵の撹乱と退路の確保ね」
「そろそろこっちでも怪しい奴らが出てきたぜ。お前ら死ぬなよ」
最初に出会ったおっさんは一緒のグループだった。まあ死なないように気をつけてやるか。
「なっ、なんだ貴様ら!」
「おい止まれ。その武器をしまえ……っちい! 敵襲!!」
なんて考えていたら、正規兵に襲いかかる変な連中出現。十人くらいだな。周囲の人通りは少なく、まだ事態がよく飲み込めていないようだ。
「おっ、襲いかかったぜ! 出番だ野郎ども! 我ら義勇軍! 不届き者に天誅を下す!!」
おっさんの口上が決まり、突撃が開始される。それじゃあお仕事頑張りますか。
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