第2話
私は出席番号が後ろの方だったので、落ち着いて考えることが出来たが、前の方は慌てて気の毒に思えた。しかし、みんな少しずつ慣れてきて、笑いも交えた紹介をしてくる人もいた。
そして。中盤になると彼が立ち上がった。
彼は、透き通るような声で自分の名前を言った。
彼の名前は、その時人気だった有名人と苗字が同じだったので、その有名人の愛称で呼ばれるようになった。
私は彼とは違う小学校出身だったので、静かに彼の自己紹介を聞いていた。
それから、何日かたつと、明るく、誰とでも話す彼は、あっという間にクラスの人気者になっていた。そんな楽しいクラスの雰囲気に便乗させてもらい、私も彼をみんなから呼ばれている愛称で呼んでみた。
「ん? どした?」
あの時の彼の眩しいくらいの笑顔は、私の脳裏に焼き付いてしまった。
一瞬。胸が高鳴った。
私はその頃の彼の事を全然知らなかったので、背が同じくらいで、運動ができる、という事くらいしか知らなかった。
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