君の隣で嘘をつく

春川 汐那

序章

世界は広くて、この宇宙の地球の日本列島の都会でも、数えれば気の遠くなりそうな数の人が生活している。

煙草を吸う人。会社へ急ぐ人。カップルで出かける人。妬ましいくらい微笑ましい家族。

この交差点を、今この瞬間通っている人は、皆私を知らない。私だって、他人のことなんて意識しないし、別にする必要も無い。

私はただ、この人混みという工場の中で決まった方向に進むだけなのだから。流されていくだけなのだから__

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