伝説の剣返してください!!

@pipix

伝説の終わり

伝説の剣「エクス・ギャリバー」

この剣を抜くことができたなら、その者は人智を超えた力を手にするであろう。

そう噂されていた時代もあった。

魔王の圧制により機能を失いつつあるこの世界では、伝説の剣を抜く者など現れないとされ、丘に刺さる神々しく輝く剣は人達の記憶から風景と称される様になった。

魔王が死ぬか、世界が終わるかのチキンレース。

圧倒的に世界が終わるのが優勢である。

世界と人達はもうすでに諦めていたのだった。


〜町外れの丘〜


「えっ!!」


エクス・ギャリバーを抜いたクラスト・ウォーレンは、力を入れずとも簡単に抜けた事に驚いた様子であった。

まだ頭の回転が追いつかないなか、剣についている砂埃を拭った。

いつからそこにあったのか?

いつから刺さっていたのか?

そんな疑問が渦巻く中に放置された伝説の剣は、町で売っている安いショートソードを思わせていた。


「これって...噂通りに考えると...俺が勇者って事になるよな...」

「そのようですね。」

「だ、誰だ?」


ウォーレンは辺りを見回したが誰もいない。


「この声が聞こえているという事は貴方が勇者です。」

「あんたは、神か?」

「そのようなものです。さぁ、ウォーレンよ魔王を倒しなさい。この世界を救いなさい。」

「まかせろ、俺が必ず魔王をたおしてやる!」


ここまでが勇者ウォーレン誕生の物語。

彼は、勇者になった事で鼻が高くなってしまい、伝説の丘から一番近い町アヴァンゲルドの宿屋にて自慢話が始まり。


寝ている時にエクス・ギャリバーを手放したそうな。

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