五冊の手紙と限りなき景色

川和真之

日記形式Part

00 登場人物の紹介&一冊目のまえがき

〈あらすじ〉

私はいま、ふくざつな三角関係の真っ只中にいる。

それは、女である私が、幼馴染の大里君と付き合っている彼女に恋をしたから。

一人東京に残されている私は、約一ヶ月前の8月24日まで遡り、日記形式で想いをひたすらに綴る。

たとえ、この苦しみから抜け出せないとわかっていたとしても――。



〈登場人物〉

〇大堀美紗都

 大学三年生。吹奏楽部でフルートを担当。大里力斗とは小・中学校と同じであり、大学で再会を果たした。大里力斗の休部をきっかけに、あろうことか大里の彼女である磯山彩音に恋をしてしまう。その苦しみから逃れるために、日々想いをノートに綴っていく。


〇磯山彩音

 大学二年生。吹奏楽部でバスクラリネットを担当。大里力斗と大学一年生から付き合っている。彼氏の休部をきっかけに、仲良くしたいと思っていた彼氏の幼馴染である大堀美紗都との距離を縮めていく。


〇大里力斗

 大学三年生。吹奏楽部でトランペットを担当。あまり部活に熱心ではなくて、現在部活を休部している。休部の表向きの理由は資格を取るためだったが、実際は部活に嫌気がさしていたことと、大学二年生の頃から付き合っている磯山彩音とすこし距離を置いてみたかったからであった。



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2005年9月19日


あやねへ


 このノートを書き始めた理由は、あやねと大里君が二人で沖縄旅行をしているからです。

 あやねがこの旅行中も苦しんでいるかもしれない。私がこの間にできることは何なんだろう? と考えた末、このノートを書こうと思いました。


 このノートの名前はなんだろう? って考えた時に最初に思いついたのは、『大堀美紗都の攻略本』でした。これを読むと私の気持ちが全てわかってしまうから。次に思いついたのが『あやね日記』。


 そして、最終的には、これはあやねへの愛する思いを綴った、長い長い『手紙』なんだなあって気づいた。これは、私が生まれて初めて書いたラブレターってやつなのかもしれない。


 このノートに、私のあやねへの想いが全て詰まっています。どうか大切にしてください。このノートが、私とあやねを繋ぎとめるものになるのであれば、これほど嬉しいことはありません。


 ちゃんと、読んでね!

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