第19話 燃えるゴミ
今日こそは、燃えるゴミを出し忘れないようにと、昨日の夕食後に部屋のゴミをほとんどまとめておいたのだ。だから、今朝はゴミ出しが楽だった。
いつもの時間について、タイムカードを打つ。
そして、マイボトルにお茶をいれて、席につく。
八時五十五分。このくらいの時間になると、出勤予定の社員はほとんど出社している。来ていない人物は、遅刻の常習者や、朝から納品に向かっている社員くらいなのだ。
わたしは、タイムカードにチェックを入れながら、勤務表に間違いがないように出勤時間と退勤時間を入力していく。この作業自体は難しくはないのだが、神経を使う作業ではある。それが終わって、タイムカードを元の場所に戻して、マイボトルの中のお茶を飲む。
業務用の大きなシュレッダーのゴミを捨てながら、もうそろそろお昼ごはんだと思った。
お弁当を食べながら、あと一日会社にくれば休みかと考えていた。こうしてみると、何の予定も入っていない週末が少々退屈なものに思えた。それが普通のときが、最近まであったんだなと思いながら、お弁当の真ん中にいるわたしが苦手とする大きな梅干を見つめた。それを、わたしは箸でお漬物が入っていたすみっこに追いやる。酸味の利いたものは食べられるのに、どうして、梅干は苦手なのかが自分でも不思議だ。
午後がはじまり、朝から納品に向かっていた社員が何かの紙袋を抱えて帰ってきた。社長に報告しにいく途中で、あとでみんなにも分けるからと言いながら通り過ぎる。
紙袋の正体は、大量のシュークリームだった。ケーキ店へ納品に行った際に、そこの店主が人数分のシュークリームを持たせてくれたらしい。社長は、「もらってきたものはしょうがないから、それぞれ好きな時間帯で食べてくれ」という。今までにもこうしたお土産はあったが、最近では珍しいかもしれない。みんなで、どんなシュークリームだろうねと言いながら、開けてみると、緑色をしていた。何味かとかじってみたら、抹茶だった。ケーキ店で頂いただけあって、美味しい。これなら、一つ食べきれそうだ。
シュークリームのお陰か、時間が過ぎるのが早くて、気づけば十八時十分。定時を過ぎていた。
そろそろ、スーパーに寄らないと、冷蔵庫の食材が減ってきていた。調味料のみりんがあまりなかった気がする。そういえば、料理酒は使い切ってしまった。
三つ葉ともやしのおひたしを作ろうと思った。
それから、メインは、マーボー豆腐にしよう。
キャベツが安いから、スープにしてもいいかもしれない。まるごとでは多いから、半分にカットされたキャベツを購入した。
明日は焼きそばでもいいかなと、気づけば重たいものばかり買い込んでしまった。
やっとのことで、部屋について、マイボトルのお茶を空になるまで飲んだ。
色々、作る気はどこかへ行ってしまい、結局キャベツとベーコンと雑穀米のスープしか作れなかった。
新着メールも確認したが届いていないようだ。
することがなくなり、わたしは、入浴をしてからスープを飲むことにした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます