第26話 文芸部

「日本国民って結構全体主義的な傾向があるような感じね。鈴木佐君」

 文芸部の部室で火影千草は呟いた。


 僕は文芸部員ではないけどたまにここにきて火影と話したりしてる。

「そうだなぁ。皆同じような音楽を聴いたり同じようなファッションとかをしたりとかしてるかなぁ…あんまり個性に薄いというか…」

「まぁ戦後は結構改善された…とは思うけど昔は戦争に反対とかすると非国民とか言われたりとか…」

「そうだなぁ…」

「やめておけばよかったのにね…」

「そうだなぁ…」

「私ね。最近もそういうような傾向が出てきてる感じがする」

「……」

「その先は…」

 沈黙の時間が流れた。


 火影は眼鏡を外して眼鏡拭きで丁寧に拭いた。サラサラとしたショートカットの髪が揺れる。猫のような瞳。

 結構美少女だよなぁ…本人は自覚はしてるんかなぁ…。

 …いや…今は真面目な会話を…。


「えっと…ここのお茶は美味しいね」

「どうも。私が選んでるからね」



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