2-2、家
都市デクレスと都市リイドの間を行き来しながら商いをしている。
同じように二つの都市を往復しながらの売り買いで生計を立てている
誰も通ろうとしない新街道こそが、ルッグの利益の
新街道を通れば、旧道を使う同業者より一日早く目的地に到着できる。宿代を倹約し、いち早く品物を売りさばくことができる。
しかし彼は、怖くないのか? 日没とともに霧の中から現れ、人に取り
確かに、夜中に森の中を
広い森の中で妖魔に出会うか出会わないかは、あくまで確率の問題だ。
それに万が一、近くに妖魔が出現しても、人間の方がいち早く木の陰や
しかし、そんなあやふやな噂や確率に依存して、何年も商売を続けられるのだろうか?
* * *
新街道に接続した町の大通りから、すこしだけ細い道に入って、しばらく奥へ奥へと進み、かつては大商人の家だったと
裏門の前に馬車を
カチリと音がして錠が外れた。
裏庭に入り、建物の通用口の錠も同様に解除し、ルッグは
ある日とつぜん霧の中から現れた妖魔に襲われ、この豪邸が
ほんの一つ、二つ、破損して横倒しになったまま捨て置かれた家具があった。
家の中に
……二十年前のあの日から、時間が止まってしまったかのようだ……ルッグはこの町に来るたびに、この豪邸に足を踏み入れるたびに、思う。
埃を
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