12月26日 パーソン・オブ・ザ・イヤー

 やあやあ諸君。

 私の名はいずく。いずくかけると申す者だ。




 諸君らは今日と言う日を如何にお過ごしだろうか。日々は刻一刻と進む二十四時間の連鎖であるが、それは円環ではなく螺旋であり、繰り返しではなく積み重ねである。だがしかし、中にはどうもそれを理解していない者が多い。

 私の話を聞き入れ、今日と呼ばれる日が先人達が積み重ねた如何なる日なのかを知らば、諸君らの過ごす毎日にも色が付くのやも知れぬ。




 本日2017年12月26日は『パーソン・オブ・ザ・イヤー』である。


 パーソン・オブ・ザ・イヤーとは、アメリカ合衆国のニュース雑誌『タイム』の編集部が、その年に最も活躍したり、話題になったりした人物を決定するものである。

 日本で言えば流行語大賞と言うものがあるが、それの世界で活躍した人物版のようなものである。


 1927年にスタートし、第1回の受賞者はアメリカの飛行家のチャールズ・リンドバーグ。去年はドナルド・トランプ。そして今年は歌手のテイラー・スウィフトを始めとする性的加害行動を糾弾した沈黙を破った人たちと呼ばれる女性数名が表紙を飾った。


 12月26日が何の日であるのか。それはこのパーソン・オブ・ザ・イヤーに人間以外が初めてノミネートした日である。

 1982年、受賞者はコンピュータであった。


 今年一番活躍した人物を決定する催しが毎年の様に行われる。これはなにもパーソン・オブ・ザ・イヤーに限った話ではない。今までの受賞者はネットで検索すればすぐに見ることが出来る。当たり前ではあるが。

 だがしかし、来年、2018年の受賞者を知る事は、この地球上において誰一人不可能である。日々は円環ではなく螺旋であり、世の中何が起こるかわからない。もしかしたら、今これを読んでいる諸君が2018年の表紙を飾る事になるやもしれぬ。




 今日はパーソン・オブ・ザ・イヤー、特別な一日である。

 我々は本日を祝福し過ごさねばならないだろう。

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