11月1日  すしの日

 やあやあ諸君。

 私の名はいずく。いずくかけると申す者だ。


 諸君らは今日と言う日を如何にお過ごしだろうか。日々は刻一刻と進む二十四時間の連鎖であるが、それは円環ではなく螺旋であり、繰り返しではなく積み重ねである。だがしかし、中にはどうもそれを理解していない者が多い。

 私の話を聞き入れ、今日と呼ばれる日が先人達が積み重ねた如何なる日なのかを知らば、諸君らの過ごす毎日にも色が付くのやも知れぬ。




 諸君、11月である。あっという間に一年の大半が過ぎ去り、2017年も残すところ二カ月のみとなった。諸君、如何お過ごしだろうか。

 年末の大掃除も、クリスマスも、年越しも年賀状も、ため込めば押入れの布団の様に自身になだれ込んでくる。今から早め早めの行動に出ることをお勧めしよう。


 さて、本日、2017年11月1日は「すしの日」である。


 すしの日は、全国すし商環境衛生同業組合連合会が1961年に新米の季節であり、ネタになる海や山の幸が美味しい時期であることからこの日に制定された一日である。


 寿司。シンプルながら日本を代表する和食。世界文化遺産にも登録された寿司は、二貫で100円のところから、一貫で時価のところまで、その値段も味もピンキリの料理である。


 寿司の歴史は古く、奈良時代から、約1000年の歴史がある。その中で様々な用語が誕生したのだが、諸君らはどれだけ知っているだろうか。

 酢飯を表す『シャリ』は仏舎利、つまりはお釈迦様の骨からきており、切り身などの『ネタ』は元々タネと呼ばれていた。その色合いから醤油は『ムラサキ』と名付けられ、噛むとガリガリ音がする事から生姜は『ガリ』と呼ばれる。お茶は遊郭の風習から『アガリ』と呼ばれ、食べると涙が出ることからワサビは『ナミダ』と呼ばれた。


 日本初の回転寿司は1958年に東大阪市の近鉄・布施駅前で開店した廻る元禄寿司である。寿司をベルトコンベアにのせぐるぐる廻すなど、どうして思いついたのであろうか。まさかここの店主も、ここまで全国的に回転すしが広まるとは考えもしなかっただろう。


 こんな事を書いていたら、だんだん寿司が食べたくなってきた。私の夢の一つに、銀座の高級すし店で値札を気にせず大トロを食べると言うものがあった。だが、今はまだ早い。今日は回転すしで我慢する事とする。廻る寿司は我々庶民の強い味方なのだ。




 今日はすしの日。特別な一日である。

 我々は本日を祝福し、過ごさねばならないだろう。

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