8月27日 『男はつらいよ』の日

 やあやあ諸君。

 私の名はいずく。いずくかけると申す者だ。


 諸君らは今日と言う日を如何にお過ごしだろうか。日々は刻一刻と進む二十四時間の連鎖であるが、それは円環ではなく螺旋であり、繰り返しではなく積み重ねである。だがしかし、中にはどうもそれを理解していない者が多い。

 私の話を聞き入れ、今日と呼ばれる日が先人達が積み重ねた如何なる日なのかを知らば、諸君らの過ごす毎日にも色が付くのやも知れぬ。




 本日2017年8月27日は「『男はつらいよ』の日」である。


 『男はつらいよ』の日は、1969年のこの日、山田洋次監督・渥美清主演の映画『男はつらいよ』シリーズの第1作が公開されたことを記念し制定された一日である。

 「フーテンの寅」が最初に登場したのはテレビドラマで、この時は最終回で寅さんは死亡した。しかし、あまりの反響の大きさのため映画で復活し、以来48作にも及ぶ世界最長の長編シリーズとなった。


 今の若い世代は男はつらいよ、を知らない人が多いかもしれないが、昔は新作が公開されるたびに話題になり、また、テレビで良く再放送もやっていた。

 男はつらいよ、に限らず、昭和から平成初期にかけては多くの日本映画がシリーズ化していた。例えば釣りバカ日誌。例えば危ない刑事、例えばミナミの帝王。男はつらいよ。はその中でも一際多い48作品であり、この数はギネスブックにも乗っている。


 残念ながら近年の映画でこれほどのシリーズ化を成し遂げた作品は無いが、テレビやネットが普及し、多種な娯楽が簡単に手に入る時代ではそれも仕方のない事なのかもしれない。

 個人的な意見だが、できればまた、男はつらいよの様に、人情味溢れる映画が出てくれればなあと思う所存である。


「私、生まれも育ちも葛飾柴又です。帝釈天で産湯をつかい、姓は車、名は寅次郎、人呼んでフーテンの寅と発します」


 この台詞が聞けなくなるのは、男はつらいよ。ファンからしてみれば、男も、女もつらいところだろう。




 今日は『男はつらいよ』の日。特別な一日である。

 我々は本日を祝福し、過ごさねばならないだろう。

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