7月1日 ウォークマンの日
やあやあ諸君。
私の名はいずく。いずくかけると申す者だ。
諸君らは今日と言う日を如何にお過ごしだろうか。日々は刻一刻と進む二十四時間の連鎖であるが、それは円環ではなく螺旋であり、繰り返しではなく積み重ねである。だがしかし、中にはどうもそれを理解していない者が多い。
私の話を聞き入れ、今日と呼ばれる日が先人達が積み重ねた如何なる日なのかを知らば、諸君らの過ごす毎日にも色が付くのやも知れぬ。
やあやあ諸君、蒸し暑い日々が続くが如何にお過ごしだろう。じめじめした季節を過ぎればとうとう夏本番、遂に7月に突入だ。
そんな7月一発目、本日、2017年7月1日は「ウォークマンの日」である。
ウォークマンが初めて発売されたのは1979年の事であった。世界のソニーより定価33000円で発売された携帯式ヘッドホンステレオ、ウォークマン。発売前には録音機能なしでは売れないだろうと囁かれていたが、そんな声をかき消すかの如く大ヒットを納める。
1984年には世界初のCDプレーヤーが発売され、続いて1990年にはDAT ウォークマンが発売される。DAT形式のメディアはあまり浸透しなかったが、その2年後、1992年にはMD ウォークマンが発売される。
CD誕生から10年越しのMD。その利点と言えば録音が容易であったという事。今でこそパソコン一台あればCDなどいくらでも作れるが、当時はそもそもパソコンが普及しておらず、このMDはまたしても大ヒットとなる。
1999年、一家に一台パソコンが置かれるようになってからは、直接ウォークマンの中に音楽を取り込めるウォークマンが出てくる。
今なお進化を遂げ続けるウォークマンであるが、諸君らはどこのメーカーのウォークマンを使っているだろうか。恐らく、もうそんなものは持ち歩いていないと答える人が多いだろう。
言うまでもなくスマートフォンへの移行が原因である。パソコン自体を必要とせず、世界中の様々の音楽を出先で楽しめるようになった今、ウォークマンは前時代の遺物と化しつつある。もちろん、画質、性能は劣るだろうが、カメラ、ビデオカメラも同類だ。いまや、デジカメ並みの写真、ビデオカメラ並みの動画をスマートフォンで撮れるようになってしまった。
いろんなガジェットを持ち歩くより、高性能なスマートフォン一台にまとめてしまった方がかさ張らず、持ち運びも便利だし安上がりだ。ウォークマンもカメラも電卓も携帯ゲームも売り上げが下がるのは無理もない。
だが、そんななんでもできるスマートフォンに当然の如く付いている機能でありながら、その売り上げを全く落とさない電化製品がある。
それは腕時計だ。スマートフォン、いや、ガラケー時代からずっと時計機能は付けられていた。ただ時間を知りたいだけならば、腕時計なんてまるで必要がない。スマホ一台あれば十分なはずである。
だが、腕時計は今も若者から大人まで幅広い層が購入している。それはなぜか。腕時計はもはや、ウォークマンやカメラと違い、ネックレスやピアスなどのアクセサリーとして、ファッションの一部として人気を博しているのである。
これに学べば、売れなくなった電気製品の需要を少し上げることが出来るのではないだろうか。ウォークマンが今本当に必要としているのは、高音質でも、長時間駆動でもなく、お洒落なデザインと、流行の芸能人が使っていると言う話題性なのかもしれない。
今日はウォークマンの日、特別な一日である。
我々は本日を祝福し過ごさねばならないだろう。
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