4月17日 恐竜の日

 やあやあ諸君。

 私の名はいずく。いずくかけると申す者だ。


 諸君らは今日と言う日を如何にお過ごしだろうか。日々は刻一刻と進む二十四時間の連鎖であるが、それは円環ではなく螺旋であり、繰り返しではなく積み重ねである。だがしかし、中にはどうもそれを理解していない者が多い。

 私の話を聞き入れ、今日と呼ばれる日が先人達が積み重ねた如何なる日なのかを知らば、諸君らの過ごす毎日にも色が付くのやも知れぬ。




 竜。その生き物は世界各国、あらゆる昔話に登場してきた。ドラゴン、龍、神。呼び方は様々であるが、ディズニー映画から異世界転生小説まで、想像上の生き物で最強を挙げるなら、竜が真っ先に思い浮かぶ。では、実在していた竜はと言うと、こちらは最恐の生物としてこう名付けられた。本日、2017年4月17日は『恐竜の日』である。


 恐竜の日は、1923年、アメリカの動物学者ロイ・チャップマン・アンドルーズが探検隊を率い、ゴビ砂漠へ向けて北京を出発した日である。そして後の6月13日、彼ら探検隊は世界で初めて恐竜の卵の化石を発見する。彼らは五年間で25個の恐竜の卵の化石を発見し、それをきっかけに本格的な恐竜の研究が始まる事となる。

 恐竜と聞くと映画、ジュラシックパークを思い浮かべる人が多いかもしれないが、ロイ・チャップマン・アンドルーズはこちらの主人公ではなく、探検家としてインディ・ジョーンズのモデルの一人になっているとされている。


 恐竜がこの世に存在していて太古の昔に地上を統べていた事は確定的だが、その恐竜がなぜ絶滅したのかは未だはっきりとはわかっていない。最も有力な隕石衝突説から伝染病説、火山説や温度低下説等、様々な仮説が立てられている。それと同時に明らかにされていないのは、恐竜の色についてだ。諸君らもティラノサウルスなんかを思い浮かべるときは灰色の姿を思い浮かべるだろうが、それはイメージであり根拠はまるでない。もしかしたらピンクだったかもしれないし、色鮮やかな7色で形成されていたかもしれないのだ。


 なんにせよ、恐竜が栄えていたのは2億500万年前。絶滅したのですら6500万年前と言われているのだ。そんな昔の事を知ろうとする労力、努力は並大抵の事ではないだろう。歴史上の偉人の生い立ちを調べるのとはわけが違う。なにせその頃には人類は誕生すらしていなかったのだから。だがしかし、3億年前には地上をはい回り、そして現在も繫栄し続けている生物がいる。その生物とは……


――諸君らも大好きなゴキブリである。


 恐竜ですら絶滅した世界を生き抜いた勝者、ゴキブリ。我々人類が絶滅する事になっても、彼らは何食わぬ顔で地上を歩き続けるだろう。中國4000年の歴史と言う。だが、ゴキブリ3億年の歴史から見たらそんな時は一瞬だ。果たして今現在、真の地上の支配者とは一体誰なのか。それが知りたければ、今から2億500年後の世界の住民に聞くのがいいだろう。




 今日は恐竜の日、特別な一日である。

 我々は本日を祝福し過ごさねばならないだろう。

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