4月5日  笑っていいともがギネス認定された日

 やあやあ諸君。

 私の名はいずく。いずくかけると申す者だ。


 諸君らは今日と言う日を如何にお過ごしだろうか。日々は刻一刻と進む二十四時間の連鎖であるが、それは円環ではなく螺旋であり、繰り返しではなく積み重ねである。だがしかし、中にはどうもそれを理解していない者が多い。

 私の話を聞き入れ、今日と呼ばれる日が先人達が積み重ねた如何なる日なのかを知らば、諸君らの過ごす毎日にも色が付くのやも知れぬ。




 アイルランドのビール醸造所の代表取締役『サー・ヒュー・ビーバー』が、仲間と狩りに行った際、世界一速く飛べる鳥はヨーロッパムナグロかライチョウかという議論になった。この議論になかなか結論が出せず、サー・ヒュー・ビーバーは世界一を載せた雑誌があれば話題になるのではと考える。ロンドンで調査業務を行っていたノリス・マクワーターとロス・マクワーターに調査と出版が依頼され、1955年に誕生したのが『ギネスブック・オブ・レコーズ』。現在の『ギネス・ワールド・レコーズ』だ。本日、2017年4月5日は『笑っていいともがギネス認定された日』である。


 笑っていいともは、フジテレビで正午より放送されていた長寿番組であるが、地方によっては13時からだったり夕方からであったりと多少のずれが生じていた。『同一司会者による生放送バラエティ番組エピソード最多』と言う記録と、『生放送最多放送回数世界最高記録』と言う2つの記録が認定されている。だが諸君らもご存じのとおり、笑っていいともは8054回、32年間と言う記録を持って放送終了した。


 笑っていいとものみならず、「最も発行巻数が多い単一漫画シリーズ」としてギネス認定され、40年の歴史を築いてきた週刊少年ジャンプの『こちら葛飾区亀有公園前派出所』や、TBSラジオで30年続いた『大沢悠里のゆうゆうワイド』。そして結成28年目で終止符を打った国民的グループ『SMAP』の解散など、近年、時代の移り変わりを感じさせる出来事が多い。


 3ヶ月程の歴史しか持たぬこの小説からは、それらが終結を迎える事になった心情はとても分かり知れぬが、一つだけ言えるのは続くのが当たり前と思っている事は必ずいつか終わりが来るという事である。

 どんな長寿番組も、人気漫画も、国民的アイドルも、そして人の命さえも必ずいつかは終わりが来る。飽きる程当たり前に続くものだから、いつまでも続くなんていつしか誤解しがちだが、時間は有限であり、過ぎ去れば思ったよりも短いものである。いいともで32年間、こち亀で40年間、ゆうゆうワイドで30年間、SMAPで28年間。たまには、30年間私の母を務めてくれた人に親孝行しようと思った一日である。




 今日は笑っていいともがギネス認定された日、特別な一日である。

 我々は本日を祝福し過ごさねばならないだろう。

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