3月25日 電気記念日

 やあやあ諸君。

 私の名はいずく。いずくかけると申す者だ。


 諸君らは今日と言う日を如何にお過ごしだろうか。日々は刻一刻と進む二十四時間の連鎖であるが、それは円環ではなく螺旋であり、繰り返しではなく積み重ねである。だがしかし、中にはどうもそれを理解していない者が多い。

 私の話を聞き入れ、今日と呼ばれる日が先人達が積み重ねた如何なる日なのかを知らば、諸君らの過ごす毎日にも色が付くのやも知れぬ。




 私の部屋は、昼間もカーテンと雨戸が締め切ってあるため、太陽光を一切招かない。引きこもり経験がある人間は共感できると思うのだが、人間やる事のない生活が続くとどうしても夜型の生活になっていく傾向がある。太陽の出ている時間に寝て、沈むと起き出すと言った生活を続けた私は、就職してからも太陽光が苦手なままである。本日、2017年3月25日は『電気記念日』だ。


 電気記念日は1878年の3月25日、東京、銀座木挽町に開設された中央電信局の開局祝賀会が、現在の東京大学工学部である虎ノ門の工部大学校で行われた際、日本で初めて灯った電灯となる50個のアーク灯が点灯された事を記念して、日本電気協会が1927年に制定した一日である。


 電灯が主流になる前はガス灯が主流であった。手軽さや安全さ、またその静寂性やコストパフォーマンスと非の打ち所がない電灯であるが、あえてたまには違う電気を使ってみるのも面白い。例えば、私はたまに部屋にあるアルコールランプを灯すのだが、ゆらゆらと静かに灯る明かりには心癒されるものがあるし、外ではランタンの明かりの方が雰囲気が出る。明るいだけなら太陽光が最強であるが、前述したとおり、私は太陽光よりも、こういうしっとりした明かりが好きなのだ。


 電気は進化し、LEDが主流になってきている。超寿命で今までの電灯より遥かに周囲を明るく照らす。だが、私にはやはり明るすぎる様に感じる。確かに明るいのは便利でいいと思うが、中には私の様にぼんやりとした間接照明のような明かりを好む人もいる事を電気業界には深く認識してもらいたいものである。遥か先に目を向けるより、目の前を見つめる事が大切だと私は思う。わかりやすく言うなら灯台下暗しと言ったところか。




 今日は電気記念日、特別な一日である。

 我々は本日を祝福し過ごさねばならないだろう。

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