2月24日 鉄道ストの日

 やあやあ諸君。

 私の名はいずく。いずくかけると申す者だ。


 諸君らは今日と言う日を如何にお過ごしだろうか。日々は刻一刻と進む二十四時間の連鎖であるが、それは円環ではなく螺旋であり、繰り返しではなく積み重ねである。だがしかし、中にはどうもそれを理解していない者が多い。

 私の話を聞き入れ、今日と呼ばれる日が先人達が積み重ねた如何なる日なのかを知らば、諸君らの過ごす毎日にも色が付くのやも知れぬ。




 日本の鉄道のダイヤは世界一だと言われている。ドイツやポーランドでは遅延など日常茶飯事であるし、イギリスでは電車すら来ない時もある。一方日本の電車と言うものは、たった五分遅れただけで遅延扱いになりアナウンスが流れる。そんな世界に誇れるダイヤを気付き上げているのは、駅員達の日々の努力の賜物であることは言うまでもない。本日2017年2月24日は『鉄道ストの日』である。


 鉄道ストの日は1898年のこの日、日本鉄道会社の機関士ら400人がストライキを起こし、上野~青森の電車が運休となった事柄により制定された。

 今そんな事をすれば間違いなく全員クビになりそうなものだが、彼らが行動を起こすのも無理はない背景がそこにはあった。


 時は明治維新後、日本政府は先進国として交通変革を目論んでいた。だが、日本にはそれだけの余裕、経済力が無かったのである。一方で軍事、製鉄、鉄道、電信電話事業と、様々な分野において財閥、企業と癒着し続けた日本。当然、労働力が必要となってくる。労働者を小作貧民の子女の出稼ぎや没落農民の流出者などから確保する事には成功するが、今度はそこから利益を上げなくてはならない。彼らには重労働と低賃金、さらには身分的な拘束までもが強いられ、次第に不満は募っていき、小規模な抗議活動やストライキが広まっていった。

 そして1898年の2月24日、鉄道運営の要である鉄道機関士らによる待遇改善期成同盟会400名余りがストライキを起こしたわけである。


 普段電車を利用している我々は、そこに運転手や駅員がいる当たり前を忘れがちだ。例えば、終電にも当然の如く運転手が搭乗しているわけだが、その運転手はどうやって家に帰るか考えた事があるだろうか。気になる人は私のユーチューブチャンネルを覗いてみるといい。本日は、世界一正確だと言われている日本のダイヤを作り上げる人達に、今一度感謝すべき日であろう。




 今日は鉄道ストの日、特別な一日である。

 我々は本日を祝福し過ごさねばならないだろう。

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