2月19日 天地の日

 やあやあ諸君。

 私の名はいずく。いずくかけると申す者だ。


 諸君らは今日と言う日を如何にお過ごしだろうか。日々は刻一刻と進む二十四時間の連鎖であるが、それは円環ではなく螺旋であり、繰り返しではなく積み重ねである。だがしかし、中にはどうもそれを理解していない者が多い。

 私の話を聞き入れ、今日と呼ばれる日が先人達が積み重ねた如何なる日なのかを知らば、諸君らの過ごす毎日にも色が付くのやも知れぬ。




 遥か昔。古代インドでは蛇の上に亀が座り、その上で三匹の象が世界を背に乗せ支えていると信じられていた。今となってはその飛びぬけた想像力に脱帽するばかりだが、古代エジプトも北欧神話も、インカ帝国もマヤ文明でさえ、多少違うところはあれども、世界は平面上の上に成り立っていると予想されていた。その後に地球は球体であると証明されることになるわけだが、今日は更にその後の話。本日2017年2月19日は『天地の日』である。


 天地の日は、ポーランドの天文学者、『ニコラウス・コペルニクス』が誕生した日を記念し、天文愛好家により制定された一日である。コペルニクスは1473年、ポーランドのトルンに生を受けた。10歳の頃に父を亡くし、その後に叔父に育てられ、1491年にクラフク大学に入学。そこでアルベルト・ブルゼフスキ教授に出会い、天文学に触れる事になる。


 コペルニクスは教会では司教座聖堂参事会員であり、知事であり、長官であり、法学者であり、占星術師であり、医者でもあり、さらには暫定的に領主司祭を務めたこともあるというまるでラノベの主人公の様なハイスペックぶりであったが、彼の名が後世にまで広く残ったのは、彼の提唱した『地動説』が天文学史上最も重要な発見とされているからだ。


 地動説とは、それまで地球を中心に宇宙が回っていると考えられていた天動説と全く正反対の学説である。簡単に説明するならば太陽を中心として地球の方が回っているという学説だ。

 ロケットもなければ、人工衛星も打ち上げていない時代である。それにも関わらず、自分たちの住む世界を解明してしまうとは。冒頭でも話したが、世界は平面であると信じられていた時代からは考えられない話であったろう。


 彼の功績はあまりにも大きかった。なにせ世界を揺るがし、歴史に残る発見をしたのだから、それを我が国の功績としたくなるのも無理はない話である。そしてやはり、コペルニクスの死後、彼がドイツ人であったのか、ポーランド人であったのかが大きな論争を呼んだ。

 地動説を唱えたコペルニクスであったが、実際には天動説の様に、彼を中心に世界の方が回されていたのかもしれない。




 今日は天地の日、特別な一日である。

 我々は本日を祝福し過ごさねばならないだろう。

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