如月

2月1日  テレビ放送記念日

 やあやあ諸君。

 私の名はいずく。いずくかけると申す者だ。


 諸君らは今日と言う日を如何にお過ごしだろうか。日々は刻一刻と進む二十四時間の連鎖であるが、それは円環ではなく螺旋であり、繰り返しではなく積み重ねである。だがしかし、中にはどうもそれを理解していない者が多い。

 私の話を聞き入れ、今日と呼ばれる日が先人達が積み重ねた如何なる日なのかを知らば、諸君らの過ごす毎日にも色が付くのやも知れぬ。




 さて、早いものでこの小説を書き始めてから一か月の月日が流れた。当然の事実だが、一年は12ヶ月から成り立っている。つまりは、2017年もすでに12分の1が過ぎ去っているという事だ。今一度、私と諸君らは今日と言う日を深く知り、一日一日をより一層充実させなければならない。


 2月に入り、記念すべき一回目である今回。そして、今から64年前にも記念すべき一回目が放送された。本日、2017年2月1日は『テレビ放送記念日』である。

 テレビ放送記念日とは、1953年、NHK東京放送局が日本で初めてテレビ放映を開始した日に由来し作られた。当時の受信契約数は866台であったと言う。


 今でこそインターネットが普及したが、私の子供時代はテレビと共にあった。人気のアニメやバラエティで学校での会話に花を咲かせ、トゥナイトや君にドキドキで鼻の穴を膨らませていた頃が実に懐かしい。私が知る日本と言う国はテレビの中から得た情報により構築されており、それが全てだった。


 だが、大人になった今、私の部屋にテレビは置いてない。年を取るたび、いつの間にやら私はテレビから興味が無くなってしまっていた。その理由はやはり、インターネットにあるだろう。いつでも気軽に自分の見たいものが見れるネットに、決まった時間にその場にいなくてはいけないテレビ放送の魅力が負けてしまったのも無理はない。


 しかしそれにより、私の楽しみにしていたテレビを見た後の感想を言い合うだけの会話も、深夜に股間を膨らませこそこそとテレビを見る習慣もなくなってしまった事も事実だ。願わくば、あの時の共有感を今一度味わいたいものである。




 今日はテレビ放送記念日、特別な一日である。

 我々は本日を祝福し過ごさねばならないだろう。

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